なぜナマケモノは怠けているのか?という話がありました。
これについて、ナマケモノの行動を研究している、
村松天輔 先生(奈良教育大学 自然環境教育センター 特任准教授)が説明していました。
ナマケモノがなまけているのは、なまけないと生きていけないから。
ナマケモノは、中央アメリカ~南アメリカの熱帯雨林に生息し、木の上で葉っぱを食べながら生活している。
ほとんど動かない様子が、いつも怠けているように見えることが、名前の由来。
ナマケモノには「フタユビナマケモノ」と「ミユビナマケモノ」という2つの種類がいる。
ナマケモノの祖先はもともと地上で暮らしていたといわれている。
しかし、ある時、木の上に登って、木の上で葉っぱを食べて暮らす種類が登場。
実は草食動物にとって、木の上で葉っぱばかりを食べて生活することはとても難しい。
葉っぱや草はカロリーが低く消化しづらいため、たくさん食べる必要がある。
たくさん食べると、体は大きく重たくなってしまう。
すると、枝にぶら下がったり、木に登ったりするのが難しくなる。
そこで、ナマケモノは、たくさん食べなくても生きていける、超・省エネボディーに進化。
とにかく「食べない」。
食べないから「動かない」、動かないから「食べない」という、
なまけないと生きていけないカラダに進化したナマケモノ。
食べる量は少なく、大体1日葉っぱ約200g。
通常は体重が軽いほど、体重あたりの食べる量が多くなるので、
ナマケモノがどれだけ少食なのかがよく分かる。
こちらは、ノドジロミコピナマンの1日の行動の割合。
連続した時間ではないが、1日のうち合計約19時間は、じっと動かなかったという計算になる。
そして、なまけることが敵から身を守ることにもつながった。
ふだん、じっと動かない上に、カラダに藻が生えると、木の茂みに紛れてしまい、
ただでさえ動かないナマケモノがより森と同化して、敵から見つかりづらくなっている。
このように、なまけに生活をし始めたからこそ、生存競争に勝つことができた。
メリットだけではない。
食べ物を食べるのも消化するのもものすごくゆっくりなので、
ちょっと天気の悪い日が続いたりすると、
体温が下がって消化が間に合わなくなって、エネルギー不足なり、命の危機となることもある。
ナマケモノは、実はスリルのある生活を送っている。
それは、約1週間に1回のトイレ。
ナマケモノは、トイレに行くときだけは木を下りる。
すると、敵に襲われる可能性が高くなる。
上半身は木につかまったまま用を足す。
ここで敵が現れても素早く逃げることはできない。