焼き肉のニオイがずっと残るのはなぜ?という話がありました。
これについて、ニオイに詳しい 関根嘉昏 先生(東海大学 理学部教授)が説明していました。
焼き肉のニオイがずっと残るのは、脂のミストシャワーを浴びているから。
脂のミストシャワーとは、ものすごく小さな脂の粒のこと。
「焼き肉のニオイ」とひと言でいっても、
肉が焼けたニオイ、タレのニオイなど、いろんなニオイがある。
実は、この脂の粒の中には、そういった、いろんなニオイが閉じ込められている。
そもそも、私たちの周りには、様々なニオイ物質が存在する。
肉を焼くと、「肉が焼けたニオイ物質」が発生。
同時に、熱によって溶け出した肉の脂が鉄板の上で熱せられる。
脂は熱によって細かい粒となり、空気中へ飛び出す。
この時、周りにある「肉が焼けたニオイ物質」や「タレのニオイ物質」などを粒の中に閉じ込めて、空気中を漂う。
この細かい脂の粒が霧のようになったものを「オイルミスト」という。
ニオイ物質は見ることはできないが、
このオイルミストは特殊なレーザーを使うと、見ることができる。
532ナノメートルの波長のグリーンレーザーで、肉眼では見えないオイルミストを可視化するのが、粒子画像流速測定法用装置、ハイパワーシートビームレーザー。
ホットプレートで肉を焼いているところに、
照明を消してレーザーを照射してみると、
水蒸気はすぐに消えてしまうが、白い粒がキラキラしている。
これが焼き肉のニオイの正体、オイルミスト。
これが、カーテンやソファーへ移動する。
そこに、一緒にニオイ物質もくっつく。
通常、ニオイ物質はカーテンや衣服にくっついても、空気の流れによって徐々に少なくなっていく。
しかし、オイルミストは、ニオイ物質が油分でコーティングされているため、
繊維質などにくっつくと、脂の粘り気で凹凸の間に入り込み、その場所に、ずっととどまる。
油汚れが、なかなか落ちないように、オイルミストのニオイも落ちづらい。
オイルミストを防ぐ方法は、
なるべく、脂が飛び散らないようにすればいい。
焼き肉店では、様々な工夫がされている。
発生したオイルミストや煙を吸い込んで換気をしたり、
鉄板の下に水を張り、肉から落ちた脂が蒸発しないようにするなど、
オイルミストを防いでいる。
家で焼き肉をする際も、オイルミストを防ぐ方法がある。
・換気する
ただ換気するだけだと、オイルミストがとどまるエリアができてしまうので、
扇風機を回して空気の流れを作り、オイルミストを外へ逃がす。
・肉を200℃で焼く
大量のオイルミストは、220°C以上で焼くと発生してくる。
ホットプレートの温度を200℃くらいにすると、オイルミストの発生を減らすことができる。
肉は高温で焼いた方がおいしいが、200℃で焼く焼き方もある。
・常に肉を動かす
・肉汁が少し出たらひっくり返す