ゴシップカメラマンを「パパラッチ」というのはなぜ?という話がありました。
これについて、古賀太さん(日本大学 芸術学部教授)が説明していました。
ゴシップカメラマンを「パパラッチ」というのは、
パパラッツォさんがしつこかったから。
映画の中での彼の演技は、本当にしつこかった。
パパラッチを辞書で引いてみると、
「イタリア映画の登場人物から、有名人の私生活を執拗に追いかけて、スクープをねらう、カメラマン」
とある。
そのカメラマンを演じたのが、
ウォルター・サンテッソ。
彼のしつこい演技は、「甘い生活(1960年公開 イタリア)」で見れる。
この映画は、女癖の悪いゴシップ誌の記者の主人公が、
欲望のままに、取材対象たちに手を出し、堕落していく様子を描いている。
そして、主人公の相棒として登場するのが、
ウォルター・サンテッソが演じる、ゴシップカメラマンのパパラッツォ。
彼のしつこい演技というのは、車で走り去る女優をバイクで追跡するのは当たり前。
夜遊びから帰ってきた女優の姿を狙って、寝ずに待ち伏せし、パシャリ。
他にも、嵐の中でも撮影し、スクープ写真を撮るために、フェンスを乗り越え潜入。
走り去る車に群がるなど、とにかくしつこい。
パパラッツォに限らず、当時のイタリアのゴシップカメラマンの多くは、しっこかったため、
問題提起として、映画で描いていた。
映画の中で、唯一役名がついていたカメラマンが、パパラッツォ。
イタリア語で、パパラッツォを複数形にして、「パパラッツィ」となる。
それが「パパラッチ」という形で広がった。
この「甘い生活」という映画が、カンヌ国際映画祭のパルム・ドールをとり、
その後、アメリカのアカデミー賞をとった。
さらに、アメリカの「TIME」という雑誌で、
映画に出てくるカメラマンの演技が、あまりにしつこかったということで記事にしたことで、
世界中に広まった。
その記事には、
「パパラッチは貪欲な狼の群れである。パパラッチは少人数から数十人で活動し、
報道カメラマンというよりは、いじめっ子。」と、
セレブの嫌われ者として紹介され、アメリカ中に「パパラッチ」という言葉が広まった。
そして、日本で「パパラッチ」が広まったのは、イギリスのダイアナ元皇太子妃が、
交通事故死したニュースがきっかけ。
このニュースは日本でも号外が発行され、翌日の紙面には、
「パパラッチ」の文字が並び、非難の的となった。