なぜ寒いと手足が冷たくなる?:チコちゃんに叱られる!【2025/02/02】

なぜ寒いと手足が冷たくなるのか?という話がありました。

これについて、体温調節のメカニズムを研究している、平田耕造 先生(神戸女子大学 名誉教授)が説明していました。

寒い時に、手足が冷たくなるのは、体温調節する血管が手足を犠牲にしているから。

体温調節する血管は、動静脈吻合(どうじょうみゃくふんごう)、通称「AVA血管」といって、手や足などにある。

通常、血液は、心臓から送り出され、動脈の太い血管から、

末端の毛細血管まで流れて、静脈を通り心臓に戻っていく。

この末端の毛細血管の手前で、動脈と静脈をつないでいる血管が「AVA血管」。

通常、暖かい所にいる時は、AVA血管が太く開いていて、

心臓から動脈を通ってくる温かい血液が、たくさん流れるので手は温かくなる。

温かい血液は、AVA血管も毛細血管も通って静脈に運ばれ、温かいまま全身を流れるので、

健康な人の場合、全身が温かい状態でいることができる。

ところが、このAVA血管は、寒さが強まると、閉じてしまう。

AVA血管は閉じてしまっても、毛細血管には、ほんの少しだけだが血液が流れる。

手全体を温める分量がなくなってしまう。

さらに、その間も表面から熱が奪われてしまうので、手先が冷たくなってしまう。

つまり、胴体のほうは温かいけど、手は冷たくなっているのは、AVA血管が閉じたからということ。

しかし、なぜ寒くなると、AVA血管が閉じてしまうのか?

それは、命を維持するために何より必要な、心臓や脳など核心部の温度を保つため。

AVA血管があるのは、手足や顔という体の末端部分。

この末端部分は、サイズが小さい割に表面積が広い。

そのため、中の熱が外に逃げやすい。

もし寒い場所でも、AVA血管が開いたままだと、熱がどんどん逃げてしまい、血液も冷たくなる。

その冷たい血液が大量に核心部に戻ってきてしまったら、

心臓や脳が、血液で冷やされることになってしまう。

そうならないために、AVA血管を閉じて手足を犠牲にして心臓や脳を守っている。

AVA血管が閉じてしまうと、温かい血液は、少ししか流れなくなり、

手先は冷たくなるが、体の中心に戻ってくる冷たい血液の量も少ない状態。

冷たい血液の量が少なければ、体の中心に戻る途中で、だんだん温かくなり、

脇の下を通る頃には、心臓などと同じ温かい温度になる。

なので、手足は冷たくても、体は温かいままとなる。

ちなみに・・・、

運動不足の人や皮下脂肪が少ない痩せ形の人が、冷え性になりやすい傾向にある。

手足が冷たくなった時は、運動する・タンパク質を多く含むものを食べるなど、

体の中から熱を作り出すことも大事。