円の1周が360度なのはなぜ?という話がありました。

これについて、数学教育学が専門の増田有紀 先生(埼玉大学 教育学部 准教授)が説明していました。
円の1周が360度なのは、1年が大体360日だから。
古代バビロニアの人々が、農作業を効率的に行うために、1年を計ったのがキッカケ。
紀元前3500年ごろ、チグリス川とユーフラテス川流域に誕生した、
世界四大文明の一つ「メンポタミア文明」。
古代バビロニアの人々はメソポタミア文明の文化と歴史の基礎を築いた。
メソポタミア文明では農作業に活用するため、天文学や数学が発達。
古代バビロニアの人々は、種まき・収穫の時期、洪水の被害を避けるために、暦を使うようになる。
もともと使っていたのは、太陰暦。

「太陰暦」とは新月を1日目として、満月までで15日、その後、新月に戻るまでと、月の満ち欠けで、1か月を定める暦。
しかし、これには問題があった。
太陰暦は、1か月が29.5日、1年が354日なので、年々季節・暦がズレてしまう。
今でこそ、1年は365日とわかっているが、当時は、もちろんわかっていない。

太陰暦で、1年をはかると、11日短くなり、3年経つと33日と1か月以上変わってしまう。
そこで目をつけたのが、太陽の動き。
古代バビロニアの人々は、太陽が地球の周りを回っていると考えていた。

毎日、太陽がどこから昇るか、位置を記録していた。
こちらは、春分の日を定めたことが記された粘土板。

昼と夜の長さが同じことを記録している。
古代バビロニアの人々は、毎日、日の出前に同じ場所へ足を運び、
どこから太陽が昇ってくるのかを地道に記録していた。
すると、
太陽が昇ってくる位置が大体360日で元に戻って来るので、これを1年にすることを決めた。
こちらは、冬至から冬至まで1年間の日の出の位置を撮影した画像。

冬至の時、同じ場所から太陽が昇ってきているのが分かる。

しかし、この時、1年が365日と気付いたはずだが、なぜか1年を360日と決めた。
これは、一体、なぜなのか?
「360」という数字は、奇跡の数字だった。
現在の一般的な計算方法は、10ずつで位を1つあげる「10進法」だが、
古代バビロニアの人々は、「60進法」を使って計算していた。
1から60の数字は、くさび形文字で記され、60までを1つの位として計算していた。

今でも使われている、時間の「分」や「秒」も60進法の計算方法からきている。
360は、60進法の「60」で割り切れる上に、12か月の「12」でも割り切れるため、計算がしやすかった。
他にも・・・、
360は、1から10の数字で7以外の数字で割り切れる。

少数を使わないでいいので、計算がしやすい。
ほぼすべての1桁の数字で割り切れる数字はめったになく、奇跡の数字。
こうして、古代バビロニアの人々は、太陽が地球の周りを1周するのを奇跡の数字360で分割した。

この1日分の動きの単位を「1ウシュ」とした。

これが角度の単位、今の「1度」の始まり。
この角度を使い 土地の測量など、計算に応用した。

円の1周360度が世界に広まったのは、紀元前600年頃、古代ギリシャの時代。
哲学者であり、数学者のタレスたちが、
60進法と共に、円の1周360度を数学の世界に導入したのがキッカケ。
(ところで、1m=100cmのように、1周100度の方がよいのではないか?)
100の約数は9個。
この場合、10で割ると10等分、25で割ると4等分と割り切りやすいが、これが9個しかない。
それに対して、360では12で割ると30等分、40で割ると9等分、72で割ると5等分、90で割ると4等分と、割り切れる数が24個もある。

このように、割り切れる数が多いと、計算がしやすく楽になる。
例えば、360と100は、それぞれ2等分できる。
しかし、3等分の場合、360は120で割り切れるが、100は33.333⋯と割り切れない。
4等分はどちらもできる。
5等分もどちらもできる。
しかし、6等分の場合、360は60で割り切れるが、100は16.666⋯と割り切れない。
古代バビロニアの人々が、太陽の1年の動きから導き出した、円の1周360度は、
割り切れる数が多く、計算がしやすい、まさに奇跡の数字。
ちなみに、400の約数は15個。






