【兵庫県西宮市】西宮市 対 住民の入居トラブル、急に「マンションの借り上げ期間は20年だから出ていってください」と言われた話

兵庫県西宮市で、悩ましい問題が起きています。

阪神淡路大震災における借り上げ復興住宅「シティハイツ西宮北口」。

今回こちらの住民に対し、借り上げ期限が過ぎているとして「退去と損害賠償」を求める提訴をしていたことがわかりました。

西宮市はこのマンションに住む7世帯の住民に対し、借り上げ期間は過ぎているとして、部屋の明け渡しなどを求める。
最終的に、市が住民に対し突きつけたのは裁判という手段。

いったい市と住民の間で何が起こっているのでしょうか?

1995年、市は被災者の住まい不足のため、都市再生機構(UR)から1棟借り上げる。
市は、年間1億8500万円をURに支払う一方、 入居者から月平均2万3000円の家賃を受け取り、差額を公費で負担してきた。

当事者の住民Aさんに話を聞くと・・・

Aさん「市は(住民を)人間と思ってないんでしょうね、モノなんでしょうね。」

Aさんは「借り上げ復興住宅」へ20年前に入居しました。

しかし、今から3年前の2012年、市から思わぬ通知が、

Aさん「はじめ何の話かわからなかった、(復興住宅)を出ていただきますと言ってね、」

Aさん「帰ってきて、これ(入居承諾書)を見ましたら記載が無いんです」

市からの通知に対し、とまどうAさんに対し、市の説明は・・・

URとは20年間の期限付きで借り上げのているもので期間が満了する

住民たちにとっては寝耳に水の話。

Aさん「市営住宅と書いてありますから、20年、期限があるなんて思ってませんのでね、だからそのまま、ずっとおれるもんだと思ってたんですよ

入居時に期限の説明はなかったというAさん。

Aさん「記載が入ってるんだったら、ここへ入って来てません、20年で出るなら」

Aさん「何も市営住宅を申し込みません、ここ(シティハイツ西宮北口)だけじゃないんです、たくさんあるんです」

Aさん「ここへ入った(人)だけがやられてるんですよ、そんなバカな話ってありますか?」

こうした住民の主張に対し、市はどう答えるのか?

入居募集のパンフレットに記載があり、説明はできていると主張。
市は住民への通知後、これまでと同等額で住める市営住宅のあっせんをしたり、およそ30万円の引っ越し支援金を出したりして、住民の住み替えを促してきました。

しかし、住民にはある不安が・・・

それは、これまで20年間培ってきたコミュニティが絶たれてしまうということ。

Bさん「知った人誰もいなかったら孤独になる、友達はできない、それでみんな出ていった人も孤独死した人が何人かいる」

これまでのコミュニティが壊れないよう、集団での転居ができないか交渉したこともあったといいますが、それに対しての市からの返事はないそうです。

結局、市と住民との溝は埋まらず、2015年9月返還期限をむえました。

そして、今回市は現在住み続ける7世帯の住民を提訴する事態となったのです。

Aさん「困ってる人間、何も悪いことしてないのに、納得ができないんです」

一般の街の人の意見は?

↓西宮市側に賛成の意見

・私の家も全壊した被災者ですが、行政には頼らなかった。市営住宅いっぱい空いてますよ、そこへ入ったらどうですか?
・市営住宅を優遇するなどは必要ですが、基本決められた事は守らないといけない。
・(知人が)役所から出ていってくれと言われ約束どおり出て行きましたよ、それで今大阪に住んでるけど、そういう人もいる。市はまた借りで借りているのだから、あの人たち(住み続けている人たち)は突っ張りすぎ。
・家賃が安いということは自立を支援しているということ、それは住人もわかっていたはず。

↓住民側に賛成の意見

・20年の期限が知らされていないなら、ひどいと思う。自分だったら出て行かない。
・住んでいる人の居住権もあるので、簡単に出ていきます、とはならないと思う。

街の人からは、自力で立ち上がっている人たちもいるのに、一部の人が優遇されるのは不公平では?という声も出ている。

今までの支援金

通常なら約10万7000円の家賃がかかるところを、仮に住人が約2万3000円払っていたとして、これを約20年間で計算すると、約2000万円の補助を受けていたということになります。

感想

本当に悩ましい問題です。どちらが完全に悪いとも言いがたい内容です。

市としては災害が起こった当時、よかれと思って被災者を受け入れて支援までしたのに、このような訴える事態にまでになったことは悲しいでしょうね。
住民の住み替えのあっせんも誠実で、対応も必ずしも悪くはない。
しかしながら、「入居承諾書」に、期限付き契約だということが書かれていなかったのは、致命的なミスだとも思いますね。

他の地域でも被災されて同じような境遇の人はいると思うので、同じようなミスがないように気をつけてほしいですね。