ビールや食材を成層圏で冷やすとおいしくなるのか?:所さんの目がテン!【2016/12/04】

宇宙の入り口と呼ばれる成層圏。

成層圏は水分が蒸発しやすいので、乾燥しやすい。

・温度:約マイナス50度
・気圧:地上の200分の1

そこで、ビールや、色々な食材を成層圏まで気球で飛ばすとおいしくなるのか?を実験ていました。

成層圏で冷やした時の予想

食材 予想
生魚 「干物」になる?
木綿豆腐 「高野豆腐」になる?
大根(輪切り) 「たくわん」になる?
大根(短冊切り)」 「切り干し大根」になる?
生卵 「冷凍たまご」になる?
ビール 「フローズンビール」になる?

実験開始

さきほどの食材を気球に設置し、モンゴルの空へ打ち上げました。

↓10分後、[高度]4501m、[温度]マイナス4.4℃

↓29分 〜 35分後、[高度]11km〜20km、[温度]マイナス49℃ 以下

ビールが凍りはじめてきました。

↓1時間56分後、[高度]31km

打ち上げ時に、直径3mだった気球は、上空31kmでは、直径20mほどに膨らんでいました。

そして、2時間13分後、高度33,125m に達すると、突然、気球が短冊状にバラバラになりました。

↓こちらは、気球をアップに写したもの。

気球が短冊状に破裂した理由は、気球が低温で冷やされ硬くなり、ガラス玉のように破片となって飛び散ったと考えられます。

回収結果

その後、パラシュートが開いて、地上に落下した食材を回収しました。

↓結果はこちら

食材 結果
生魚 「干物」になった
木綿豆腐 水分は抜けたものの「高野豆腐」になりきれなかった
大根(輪切り) 「たくわん」になったが、辛くなった
大根(短冊切り) 「切り干し大根」になったが、辛くなった
生卵 変わらず生卵のまま
ビール 成層圏で「フローズンビール」になったが、落下時に消失した

↓高野豆腐もどき

水分は抜けたものの「高野豆腐」になりきれなかった。

↓魚の干物

完全に干物になりました。

なぜ、大根は辛くなったのか?

・大根が成層圏で凍結したことで、氷の結晶ができて、大根の細胞が破壊された。
細胞中で酵素反応が起きイソチオシアネートという辛味成分が生まれた。
この細胞の破壊によって辛味が出るというのは、大根おろしと同じ反応です。

なぜ、干物はおいしくなったのか?

・低温で水分が蒸発していて、凍結乾燥状態で干物が作られていた。
したがって、たんぱく質の熱変性がなく、とてもいい状態で干物ができたのだと思われる。
成層圏の条件を見る限り、低温なのでうま味成分の分解が抑えられ、おいしい干物が作られた。
   
・気圧が低下すると、おそらく細胞が膨らんで壊れる。もともと魚の細胞の中に含まれていたうま味成分が、気圧が下がって細胞が壊れ中からうま味成分があふれ出た

結論

結果としては、干物、切り干し大根、たくわん、フローズンビール(しっかり固定する)は、成層圏で、作れそうです。