女性医師の方がいい?
アメリカの医師の学会誌に掲載された日本人の論文が反響を呼んでいます。
↓こちらは、先月(2016年12月)19日の「USA TODAY」誌。これはタブロイド誌ではなく、この一般誌が出した記事。
見出しには「寿命がくる前に死にたくないって?それなら女医をつかまえろ!」と書かれています。
・女医は治療を受けた患者にとって有益だ(ウォール・ストリート・ジャーナル / 2016.12.19)
・女性の方が良い医者だと研究結果が語る(ワシントン・ポスト / 2016.12.19)
論文には、女性医師の方が男性医師より患者にとって良い結果が出たと書かれている。
いったいどういうことなのでしょうか?
論文の内容
論文を書いたのは、津川友介 研究員(ハーバード公衆衛生大学院)。
・入院して30日以内に亡くなっているか?
・男性医師と女性医師で差があるか?
・患者がどれだけ重症か?
・どこの病院で診療を受けているのか?
これらのデータを元に、やはり女性医師の方が患者さんが亡くなる確率が低いという研究結果が出た。
アメリカの内科医5万人が治療した65歳以上の高齢者(肺炎、心疾患などの患者)150万人のデータを解析した結果、女性医師の方が男性医師より死亡率が低かった。
・2011年から2014年までの3年間のデータを元に論文は書かれている。
・内科の患者を対象にしている。
入院から30日以内の死亡率
男性医師 11.5%
女性医師 11.1%
この0.4%の差と聞くと誤差くらいの確率のように見えますが・・・
統計学的には、偶然では説明できない数値なのだそうです。
150万人のうちの0.4%というと、6000人、これは大きな数字です。
この0.4%の差をアメリカの保険に入っている65歳以上の高齢者で換算すると、3万2000人 という数字になる。
あるタブロイド誌では、「男性医師は3万2000人の患者を殺している」という見出しをつけたりもしている。
女医は少ない?
女性医師の割合は、日本でもアメリカでも男性医師よりも少ない。
日本では、8:2
アメリカでは、7:3
の割合で、男性医師の方が多い。
女医が気をつけている点
女性医師は患者のどのようなところに気をつけて治療しているのでしょうか?
鈴木 孝子 医院長(南青山内科クリニック) のコメント
「どういうお身体の調子ですか?」とか「どういう生活ですか?」とか、そういう遠まわしに話を聞いていくとだんだん核心の言いたいことになってくるので、それを聞いて対応している。
男女の差
医師で男女の差はあるのでしょうか?
森田 豊 氏(医師・医療ジャーナリスト)のコメント
男性には男性ホルモンが活発に分泌されている、これは「非常に責任感があってそして前向きに考えてリスクを背負う」そういう性格にするホルモンです。
一般的に女性医師は治療に対する方針、ガイドラインをよく守る傾向がある。そしてちょっとでも困ったら別の専門家に相談する。こういった女性医師の特有な性格とか特徴が、「女性医師の方が優れている」というような結果につながったんじゃないかと思う。