【大阪】風致地区に高さのあるマンション建設の抜け穴:VOICE【2017/02/20】

マンションの建設をめぐる問題です。舞台は大阪市阿倍野区の閑静な住宅街。
景観を守らなければならない風致地区に指定されている場所です。
大阪市は既に開発許可を出していて工事も始まっているんですが、近隣住民は『町の景観を壊すのもので条例の抜け穴をついている』と反発しています。

風致地区とは?
1919年(大正8年)に制定された都市計画法において、都市内外の自然美を維持保存するために創設された制度である。


大阪市阿倍野区の北畠地区。都心に近いにもかかわらず静かで落ち着いた住宅街です。

近隣住民「(2階から見て高さが)1m50cmのところに5階建てが建つので威圧感がある」

この家のすぐ裏側、元々銀行の社宅だったところに、マンションを建てる予定だといいます。

近隣住民「法律の『抜け穴』をうまく利用してやろうとする業者に対して憤りを感じます」

北畠地区は、市の条例で景観を守ることが決められた風致地区。建物の建築や樹木の伐採などにも一定の制限が設けられます。

北畠にはコンビニがないほど、地元住民が町並みを守ってきました。

住宅の高さにも規制があり、地面からの高さ15m以内と決められています。

しかし、今回建設予定のマンションの高さは、約20mくらいだといいます。これが本当なら条例違反ですが・・・?

マンションの建設計画はこうです。

この場所は元々、高台になっていましたが、

この土を全て掘り返し、駐車場部分や、住居部分を作るといいます。

道路を規準とすると、マンションの高さは19mになりますが、業者側は駐車場はあくまで地下なので、5階建てで高さは14mに収まるとしているのです。

しかし、これには近隣住民も納得していません。

・何も法律でひっかからなかったらすべてがいいという話ではないですよね。
・業者の考えはそこ(高台の上)から上。そこから下が地下というから。

説明会

去年(2016年)10月に、業者による説明会が行われました。

業者「建物の高さをどこからとるか基準点を決めるのが平均地盤面。今回の敷地のように傾斜地の場合は非常に難しい」
近隣住民「あかんあかん、そんなんインチキや。それはやめてほしいなぁ」
近隣住民「地域の合意形成をとる努力をしながら最終的に地域の理解のもとで工事をやるんだよ。普通は!」

業者のコメント

当社は各種関係法令に則り、適正に大阪市より許認可を取得し計画を推進しております。

大阪市のコメント

大阪市都市計画局建築指導部の人によると、

担当者「風致条例上、地階に設ける建築物を除いて15m以下となっている。今ある条例の範囲であれば今回のマンション計画は『適法に処理』がされる」

違法ではないので許可を出したとする大阪市。

住民は、計画の見直しを求めて市に陳情書を3回提出しましたが、市の対応に風致地区を守る気がないと怒り奮闘です。

近隣住民のコメント

日本全国いろんな風致のところがあるが、きちんと細かいところまで決めて・・・。風致というのは条例を守ろうというのがあるけれども大阪市に関しては一切そういうのがない。

ある弁護士のコメント

マンション問題に詳しい弁護士によると、本来は行政が主導して、景観を保護していくべきだと指摘します。

地形を壊したり樹木を移動したりすると、風致条例で保護しようとしたいい景観がなくなる。そうすると北畠の風景が日本中どこにでもあるような風景に変わってしまう。それは風致条例が本来目指した方向ではない。

それでも工事は進む

住民らの反対を受け、大阪市議会では、「道路から高さに含めるなどの」条例の改正が検討されています。

これまで守ってきた景観を後世に残したいという住民たち、その思いとは裏腹に今日も着々と工事が進められています。