高齢者講習の予約が取れない!:VOICE【2017/03/13】

各都道府県によっては、免許更新の際の高齢者講習の予約がなかなか取れないそうです。

↓こちらは兵庫県の事例です。

高齢者「兵庫県公安委員会の方から『高齢者の検査』を受けなさいという葉書が来たんですが、75歳になるんですが、今日(3月)予約するといつごろになりますか?」

ある高齢者の男性が、運転免許の更新のため、高齢者講習の予約を入れることになりました。

しかし、

教習所「今うちだと、6月22日以降しか空いていないです。」

講習を行う教習所からは、予約が3か月以上先の日程を示されました。免許の更新期限が迫っているため大変です。

結局、教習所からは他を探してくださいと言われました。

高齢者講習は、公安委員会から依頼された民間の教習所などが行っていますが、一般の免許更新と違い大半が受講者自らが予約を入れなければなりません。

別の教習所にもあたってみますが、同じく他を探して下さいとのこと。

19年前の1988年から始まった高齢者講習は、70歳以上の人に義務付けられていて、運転能力や技能水準を自覚してもらうのが目的です。

特に75歳以上の高齢者については、認知症の疑いがないか記憶力や判断力を測定する検査と、実際の車の運転などを行う講習の2本柱で行われています。

兵庫県の教習所に聞いてみると、高齢者講習は平均3,4か月待ちでした。最近になって予約状況が込みだしたといいます。

皮肉なことに予約の取れない人気の教習所となっているのです。

しかも、なんとか予約が取れた場合でも安心していいわけではありません。

ある高齢女性は、体調が悪いので別の日に受講したかったが、近い日には予約に空きがなく、しかも予約した日に講習を受けなければ免許が失効してしまうというのです。

結局、体調不良をおしての受講になりました。なんとも過酷な状況です。

一方で高齢者ドライバーを巡っては、運転操作を誤る事故が相次いでいます。こうした事故を防ぐため5年前から65歳以上を対象に、運転免許の自主返納をすすめる動きが広がっています。

高齢者の絶対数の増加もあり、自主返納は年々増え続け、2015年では年間で約30万人が免許を返しています。

高齢者が免許を手放す流れがあるにもかかわらず、免許更新の予約が取りにくいのはなぜか?

少子高齢化で子どもが減っているので、教習所も昔のように大勢教習生が来る時代ではなく、教習生が減って指導員も少なくなっている。

少子化や若者の車離れで、教習所を卒業した人の数は、10年前から30万人近く減っていて、それに伴い全国の指定教習所の数も100校以上減っているのです。

さらに、経営が厳しくなった教習所にとっては、1回約6000円の高齢者講習は、新規免許取得者の教習に比べて利益が少なく、積極的にやりたがらないというのが現実です。

しかし、さらに高齢者の厳しい状況に拍車をかけるのが、昨日(2017年3月12日)から施行された「改正道路交通法」。

これまで同じ日に行われていた「認知症の検査」と「運転などの実技教習」を別の日に行うことになり、今後は予約を2回取る必要があるのです。