大阪府高槻市に、大きな木々に囲まれた家がありました。
この家の住人女性によると、
かなりの老木で最近のゲリラ豪雨なんかがくると、そのあとどうなるかかなり不安なんです
とのこと。
去年(2016年)6月には、人間の体をちょっと小さくしたぐらいの枝が落ちてきたといいます。
上にある木をよく見ると、屋根の上にまでせり出しています。
造園業者によると、
限りなく危険度マックスに近い。枯れが進んでいる。
とのこと。
IRATA国際認定技士によると、
いつこけてもおかしくないのは事実ですね。台風などがくると怖い状態です。
とのこと。
倒れた場合、屋根で支えられるか?との問いには・・・、
下から見た状況では、落ちてきたところは全壊する可能性はあると思いますね。
とのこと。
しかし、この危険な木が放置されているのには、理由がありました。
それは所有者がわからないということ。
法律上、隣の土地から伸びてきた根っこなどは勝手に切ってもいいですが、枝などは勝手に切ってはいけないことになっています。
ただし、切ることができない代わりに木の持ち主に枝を切らせることができると定められています。
しかし、その所有者がわからないのでそれもできません。
実は、この土地には多くの謎が隠されていました。
この土地の登記簿を見てみると、そこには所有者が「高槻市」と書かれていました。
早速、高槻市に問い合わせてみると、
それは高槻市の土地ではないというふうに考えております。事実の確認については、土地の登記などを所管されている法務局にお問い合わせください。
とのこと。
大阪法務局で、「公図」という土地の境界や建物の位置を確定するための地図を見てみると、
問題の地番は、「937−1」ですが、この地番に割り当てられた公図が、どういうわけか2枚に存在したのです。
これに対して、大阪法務局によると、
2つの土地に同じ地番が振られてしまっていることがわかりました。これから調査します。
とのこと。
2枚目の公図が示していた場所は、約500m離れた場所にある道路でした。
この道路の登記簿を調べてみると、ここにも「公衆用道路(公路)」と書かれています。
高槻市が所有しているのは、この道路の方だというわけです。
では、問題の土地はいったい誰のものなのでしょうか?
次に話を聞いたのは、国有地を管理している近畿財務局。
法律上、持ち主のいない土地は、国有地の扱いと規定されています。
もし、国有地だった場合は、国に「木を切って」と要求できますが・・・、
近畿財務局によると、
一般論として、持ち主がいないと確定すれば、国有地として対応できるが、
問題の土地は国有地リストにはなく、現状では対応が難しい。
とのこと。
さらに手がかりをもとめて、木の生い茂る丘を再び眺めてみると、その頂上にお社が見えます。
「上宮天満宮」という神社です。
去年(2016)3月まで宮司を務めていた神社の責任者に話を聞いてみると、
木のある土地は、何百年か知らないけど延々と神社の土地だというふうに我々は認識しています。
神社としては、法務局の調査結果が出て所有が認められれば、問題の木の件に対して何らかの対応をするとのこと。
法務局としては、この調査期間がどのくらいかかるのか、メドもわからないということでした。