みんな満足!分け前のルールの話:オイコノミア【2017/10/11】

経済学としては、非効率資源配分は好ましくないという話です。


あるところに、24個のタコ焼きがありました。

これを3人で分けるとします。

通常なら、等分にして、1人8個となるところ。

しかし、3人はそれぞれ、

Aさんは、「6個」食べたい。
Bさんは、「12個」食べたい。
Cさんは、「18個」食べたい。

と言っています。

ここで大事なのは、「等しく扱う」ということ。

では、「何を等しく扱うのか?」ということが重要になってくる。

人を等しく扱った場合、1人8個となる。

しかし、これは人を等しく扱いしすぎて、みんなが食べたい個数を無視している。

公平の原則

古代ギリシャの哲学者、アリストテレスの「ニコマコス倫理学」に研究がまとめられている。

第一原則、等しいものは等しく扱う

Aさんは、 2個
Bさんは、5個
Cさんは、17個

などとすることで、いっぱい食べたい人の分は少しだけ減らし、そんなに食べたくない人の分は多めに減らす。

みんなの「不効用(がっかり分)」を等しくしている。

第二原則、等しくないものは等しくなく扱う

Aさんは少し食べたい、Cさんはたくさん食べたいので、これは別々に扱う。

アリストテレスの公平の原則は、人々の公平感をよく表している。

分け前のルール

比例配分(比例的に等しく扱う)

食べたい数をお皿の数で表してみると、1皿6個として、

Aさんは、6個(1皿分)
Bさんは、12個(2皿分)
Cさんは、18個(3皿分)

となるが、足りないので、1皿4個にしてみる。

Aさんは、4個(1皿分)
Bさんは、8個(2皿分)
Cさんは、12個(3皿分)

とすると、ちょうど24個を分けられる

6個:12個:18個 = 1:2:3

一見平等でよい分け方に見えますが、これはあまり良くないそうです。(その理由は後に出てきます。)

イコール・ゲイン(プラス分を等しく扱う)

まず、3人に1個ずつ配分していきます。
そして、一番少なく希望したAさんの6個に達した時点でAさんへの配分はストップ。

Aさんは、6個
Bさんは、6個
Cさんは、6個

ここから、さらに多く希望するBさんとCさんに配分していきます。

Aさんは、6個
Bさんは、9個
Cさんは、9個

そして、2人に9個配った時点で、全ての24個を配り終えました。

これは、「プラス分を等しく扱うというもので、少なく要求する人が満足するまで配り、さらに余った分を残りの人で等しく分ける」というもの。

この場合、

BさんはCさんを見て、うらやましいとは思わない。
CさんはBさんを見て、うらやましいとは思わない。
Aさんは自分の希望分あるので、とても良い状態。

こういうのを「無羨望【むせんぼう】(うらやましくない)」といいます。

例えば、給食のおかわりなどがそうです。

イコール・ロス(マイナス分を等しく扱う)

仮に、3人が希望する数、合計36個のタコ焼きが存在すると仮定します。

Aさんは、6個(1皿分)
Bさんは、12個(2皿分)
Cさんは、18個(3皿分)

実際には24個なので、ここからまぼろしの12個を減らしていきます。

3人とも1個ずつ減らしていきます。

すると、全員が4個減らしたところで、

Aさんは、2個
Bさんは、8個
Cさんは、14個

となりました。

これで3人とも同じ数だけガマンしているということになります。

これは、「マイナス分を等しく扱うというもので、足りない分を全員で等しく負担する」というもの。

同じ損をさせたことで納得しやすい。

どの分け方がうれしい?

3人にどの分け方がうれしいか聞いてみると、

Aさんは、イコール・ゲイン だとうれしい
Bさんは、どれでもいい?
Cさんは、イコール・ロス だとうれしい

となった。

ウソをついていたら?

もし、Cさんが分け前を多く得たいがために、本当は12個で満足するところを18個希望しているとウソをついていたとします。

すると、ウソをついた人が得をし、本当のことを言った人が損をします。

イコール・ロス、比例配分は、正直者がバカを見る、ということになります。

しかし、イコール・ゲインであれば、ウソをついても得をしません。

自分がいくら食べたいかというのは、主観的情報(本人しか知らない)。

言った者勝ちになってしまうので、イコール・ゲインがよいということになります。