経済学としては、非効率な資源配分は好ましくないという話です。
あるところに、24個のタコ焼きがありました。
これを3人で分けるとします。
通常なら、等分にして、1人8個となるところ。
しかし、3人はそれぞれ、
Aさんは、「6個」食べたい。
Bさんは、「12個」食べたい。
Cさんは、「18個」食べたい。
と言っています。
ここで大事なのは、「等しく扱う」ということ。
では、「何を等しく扱うのか?」ということが重要になってくる。
人を等しく扱った場合、1人8個となる。
しかし、これは人を等しく扱いしすぎて、みんなが食べたい個数を無視している。
公平の原則
古代ギリシャの哲学者、アリストテレスの「ニコマコス倫理学」に研究がまとめられている。
・第一原則、等しいものは等しく扱う
Aさんは、 2個
Bさんは、5個
Cさんは、17個
などとすることで、いっぱい食べたい人の分は少しだけ減らし、そんなに食べたくない人の分は多めに減らす。
みんなの「不効用(がっかり分)」を等しくしている。
・第二原則、等しくないものは等しくなく扱う
Aさんは少し食べたい、Cさんはたくさん食べたいので、これは別々に扱う。
アリストテレスの公平の原則は、人々の公平感をよく表している。
分け前のルール
・比例配分(比例的に等しく扱う)
食べたい数をお皿の数で表してみると、1皿6個として、
Aさんは、6個(1皿分)
Bさんは、12個(2皿分)
Cさんは、18個(3皿分)
となるが、足りないので、1皿4個にしてみる。
Aさんは、4個(1皿分)
Bさんは、8個(2皿分)
Cさんは、12個(3皿分)
とすると、ちょうど24個を分けられる
6個:12個:18個 = 1:2:3
一見平等でよい分け方に見えますが、これはあまり良くないそうです。(その理由は後に出てきます。)
・イコール・ゲイン(プラス分を等しく扱う)
まず、3人に1個ずつ配分していきます。
そして、一番少なく希望したAさんの6個に達した時点でAさんへの配分はストップ。
Aさんは、6個
Bさんは、6個
Cさんは、6個
ここから、さらに多く希望するBさんとCさんに配分していきます。
Aさんは、6個
Bさんは、9個
Cさんは、9個
そして、2人に9個配った時点で、全ての24個を配り終えました。
これは、「プラス分を等しく扱うというもので、少なく要求する人が満足するまで配り、さらに余った分を残りの人で等しく分ける」というもの。
この場合、
BさんはCさんを見て、うらやましいとは思わない。
CさんはBさんを見て、うらやましいとは思わない。
Aさんは自分の希望分あるので、とても良い状態。
こういうのを「無羨望【むせんぼう】(うらやましくない)」といいます。
例えば、給食のおかわりなどがそうです。
・イコール・ロス(マイナス分を等しく扱う)
仮に、3人が希望する数、合計36個のタコ焼きが存在すると仮定します。
Aさんは、6個(1皿分)
Bさんは、12個(2皿分)
Cさんは、18個(3皿分)
実際には24個なので、ここからまぼろしの12個を減らしていきます。
3人とも1個ずつ減らしていきます。
すると、全員が4個減らしたところで、
Aさんは、2個
Bさんは、8個
Cさんは、14個
となりました。
これで3人とも同じ数だけガマンしているということになります。
これは、「マイナス分を等しく扱うというもので、足りない分を全員で等しく負担する」というもの。
同じ損をさせたことで納得しやすい。
どの分け方がうれしい?
3人にどの分け方がうれしいか聞いてみると、
Aさんは、イコール・ゲイン だとうれしい
Bさんは、どれでもいい?
Cさんは、イコール・ロス だとうれしい
となった。
ウソをついていたら?
もし、Cさんが分け前を多く得たいがために、本当は12個で満足するところを18個希望しているとウソをついていたとします。
すると、ウソをついた人が得をし、本当のことを言った人が損をします。
イコール・ロス、比例配分は、正直者がバカを見る、ということになります。
しかし、イコール・ゲインであれば、ウソをついても得をしません。
自分がいくら食べたいかというのは、主観的情報(本人しか知らない)。
言った者勝ちになってしまうので、イコール・ゲインがよいということになります。