↓こちらの道具のことを「はんこ」や「印鑑」と呼んだりしますが、いったいどう違うのでしょうか?
街の人50人に、この道具を何と呼ぶか聞いてみると、「はんこ」と「印鑑」で、ほぼ半々の結果でした。
そこで、全国のはんこ屋さん1000店舗以上の会員をもつ「全日本印章業協会」に聞いてみると、
道具自体の名前は「はんこ」と呼びます。
はんこを紙に押してできた、↓これを、印の影と書いて「印影」と呼びます。
この「印影」を役所や銀行に届け出をして登録します。
正式に登録された印影だけが、はじめて「印鑑」と呼ばれるようになります。
普段、「印鑑を押す」と言う人もいますが、印鑑というのは「登録された唯一の印影」ですので、印鑑を押すということはできません。
ですので、正しくは「印影を押す」と言う方が正確な表現になります。
では、なぜ多くの人が「はんこ」ではなく「印鑑」と呼ぶのでしょうか?
はんこのことを印鑑と呼ぶようになったのは明治時代になってから。
明治時代に「印鑑登録制度」が導入されました。
すると、多くの人が印鑑という言葉をよく耳にするようになり、「はんこ」と「印鑑」を混同してしまったのです。
そのため、いつしかはんこ自体のことを印鑑と呼ぶようになったのです。
ちなみに、「全日本印章業協会」の「印章」とは「はんこ」のことで、
俗称が「はんこ」、正式名称が「印章」なのです。
では、なぜ「はんこ」と呼ぶのでしょうか?
昔中国では、はんこのことを「印」「章」などと言っていました。
それが日本に伝わってきて、「印章」と言うようになった。
それが「はんこ」と呼ばれるようになったのは江戸時代だと言われています。
平和な時代になり、庶民の間に娯楽ができるようになった。
その中に版画で浮世絵などを楽しむ文化が出てきた。
その版画が、印章をはんこと呼ぶきっかけになった。
版画などに使われている絵や文字を彫った木の板の原盤を「版行(はんこう)」と呼んでいた。
同じ絵柄を何度も刷ることができるその版行と、同じ印を何度も押すことができる印章がとても似たような道具だったため、印章のことを次第にはんこと呼ぶようになったのです。