赤白の幕と黒白の幕の違い:この差って何ですか?【2018/03/27】

お祝いごとの時には、赤と白のストライプ(縞模様)の幕、

お葬式の時には、黒と白のストライプの幕が使われているのをよく見かけます。

この違いはいったい何でしょうか?

赤と白の幕は、「紅白幕」といって、赤は縁起のいい色ということで、おめでたい時に使います。

黒と白の幕は、「鯨幕(くじらまく)」といって、黒は死や不幸を想像させる色で、弔事に使われます。

(鯨幕・・・くじらのお腹が白色、背中が黒色で、見た目に似ているところからきている)

でも、なぜ、赤一色、黒一色ではなく、白が混ざった縞模様なのでしょうか?

そもそも、この縞模様は「ある色」と白の幕から誕生しました。

その幕が「浅葱幕(あさぎまく)」です。ネギより浅い色というところからきています。

当時、お正月のお祝いごとや、お葬式など、色々な行事に使われていました。


浅葱幕誕生物語
時は平安時代、京都では建物を建てる時に、安全を祈願する地鎮祭が行われるようになっていました。
そして、その場所は神様を呼ぶ神聖な場所ということで、幕を張ることになりました。
さらに、神様が分かりやすいようにということで色を付けることに。
当時の染色技術では、染められる色が限られており、着物に使われる藍色が一般的でした。
タデ藍と呼ばれる植物から作った染色液に布をつけて天日干しにするのです。
藍色にするには、この染色・天日干しを10回行わなくてはいけませんでした。
日数にして約一週間。
そのため、地鎮祭を行う場所を覆う大きな幕を全て染めるには、とても時間がかかる作業でした。
そこで、染色の回数を1回に減らしました。
すると、染まった色が藍色よりも薄く、浅葱色になったのです。

当時、作られる布の大きさは決まっており、着物の帯などに使われる大きさ、幅が約36cm、長さが約160cmの長方形でした。
そのため、地鎮祭を行う場所を覆う幕は、その布を合わせて大きな幕を作ろうとしたのですが、染めた布がたくさん必要になるため、

間に染めていない白い布をつなぎ合わせることで、浅葱幕が誕生しました。


その後、染色技術が発達し、様々な色が作られました。
そして、江戸時代以降、人々は色に意味をつけるようになりました。