商店街を歩いていると、お客さんが入っていないのに潰れないお店をよく見かけます。
その代表格が、商店街の「ハンコ屋」さん。
あるハンコ屋さんに訪れて1時間見続けていると、その時のお客さんは0人。
ハンコが売れていないのに、どうしてお店は潰れないのでしょうか?
店のご主人に話を聞いてみると、
得意先の会社から伝票・封筒・名刺など、ハンコ以外のある程度の固定収入がある
とのこと。
実際、ハンコの売り上げはというと、全体の3割程度。
他にハンコを掘る技術を使い、表札などの製作を受注していますが、収入は微々たるもの。
儲けの7割は馴染みの会社からの名刺や伝票などの発注。
これで生計を立てているのだそうです。
実は、このハンコ屋さんのように、企業との取り引きでも受けているのが、「金物屋」「布団屋」
金物屋さんは、会社や学校に掃除道具などの備品を納入することで、
布団屋さんは、企業の研修や合宿などで使う貸し布団で、儲けを出しているお店も多い。
他にも、自転車屋さんは意外に儲かっているそうです。
その中でも、パンク修理の儲けは大きいとのこと。
ある自転車屋さんでは、1回のパンク修理で900円、そのほとんどが利益になっていました。
これは技術料で、材料費は数十円程度。
例えば、ママチャリを売っても、利益はせいぜい2,000円。
なので、パンク修理を3回もすれば、ママチャリよりも儲かるそうです。
さらに、パンク修理には競争相手がいないというのが大切なポイント。
大抵、パンクは予期せぬタイミングで起こります。
通常、そんな時は、わざわざ遠くの安いお店には行かずに、近くのお店に駆け込みます。
ですから、競争相手がいないので、多少強気な値段設定でも、お客さんは修理に来てくれて儲かるのです。
競争相手がいないというのは、実は、商店街のタバコ屋さんも同じ。
タバコの販売は許可制で、一定の範囲内で他のお店は出店できません。
もちろん自動販売機も勝手に設置できないので、競争相手が少なく、安定した収入が確保できるタバコ屋さんは潰れないのです。
また、これらのような儲かる仕組みがあるのは特殊な例。
各地で、シャッター商店街が生まれているのもまた現実です。
でも、売り上げが少ないという理由だけでシャッター商店街になると思っていませんか?
売り上げ以外にも大きな理由があるのです。
商店街には、1階が店舗で、2階が住居という店舗併用住居が多い。
このような店舗併用住宅の固定資産税は6分の1になります(※居住の割合により税率も変動)。
店を閉めても同じ場所に住み続けているので、長期間シャッターを閉めたままのお店が増えています。
シャッターを閉めたお店は、一見、空き店舗に見えて実は「お家」というケースも多いです。
そのため、新規のお店が入れず、シャッター商店街化が進む大きな要因になっているのです。