あるスーパーに、見た目はほとんど同じで、値段の違う「柿」が販売されていました。
切って中身を見てみると、値段が高い方が黒くて、より甘くなっていました。
品種や産地は全く同じなのに、どうして値段が違うのでしょうか?
実は、柿には大きく分けて2種類あります。
熟すと甘くなる「甘柿」と、熟しても渋いままの「渋柿」。
さきほどの値段の違う柿はどちらも渋柿でした。
でも、渋柿なのになぜ甘いのでしょうか?
実は、この渋柿は、人工的に甘くされていました。
その甘くする方法が2種類あります。
値段が安い柿
値段が安い柿は、「オレンジ色に熟した渋柿」を使用します。
収穫した渋柿を↓こちらのオレンジ色のシートに囲まれた装置の中に入れ、この中に「炭酸ガス」を充満させます。
渋みの原因は柿に含まれる「タンニン」。
このタンニンが舌で吸収されて渋みを感じます。
そこで、炭酸ガスを使用することで、シートの中が無酸素状態になるため、渋柿は呼吸できなくなります。
すると、渋柿の中にある「アセトアルデヒド」が活性化し、タンニンを包み込みます。
そのため、この渋柿を食べてもタンニンが吸収されず渋みを感じにくくなります。
そして、柿、本来の甘さがより引き立つのです。
この方法だと、1度に大量の柿を甘くすることができます。
値段が高い柿
値段が高い柿は、まだ熟していない「青い渋柿」を使用します。
そして、甘くするために「固形アルコール」を入れた袋を柿に被せます。
こうすることで、渋柿がアルコールを吸収して、「アセトアルデヒド」が活性化します。
あとは、値段が安い柿と同じように渋みが抑えられます。
この状態で2日経ったら袋を開けて外し、約30日かけてゆっくりと熟成させていきます。
値段が安い柿は、1日で甘くしているため、どうしてもタンニンを全て抑えられませんが、
値段が高い柿は、時間をかけて隅々までタンニンを抑えて熟成させるため、より甘く感じるのです。
さらに、タンニンはアセトアルデヒドと結びつくと、時間が経つにつれ黒く変化していきます。
こうした手間ひまをかける違いで、値段と甘さに違いが出ているのです。
関連書籍
- 作者: でじじ
- 出版社/メーカー: パンローリング株式会社
- 発売日: 2015/06/11
- メディア: Audible版
- この商品を含むブログを見る