自宅から料理を注文して届けてもらう時に「出前」と言ったり、「宅配」と言ったりします。
この違いは何でしょうか?
実は、その違いは、メニューの種類ではありませんでした。
出前
「出前」が生まれたのは「江戸時代中期」。
当時、江戸で流行っていた「そば」が関係しています。
そばをお店に食べに行きたくても、食べに行けない人がいました。
それが、遊郭吉原で働いていた遊女たちです。
遊女は10代でその世界に入ると、27歳まで働き続けるルールがありました。
しかも、その働いている間は、遊郭吉原から外へ出ることができなかったのです。
そこで、人気のそばをどうしても食べたかった遊女たちは、遊郭の使用人に「そばを持ってきて欲しい」と伝えました。
そして、使用人は、そばを届けてもらうように、そば屋にお願いしました。
こうして、日本で出来たての料理をお店以外の場所に届けるサービスが生まれ、次第に利用する人が増えました。
この時、「出前」という言葉が生まれました。
「出前」の「出」はお店から作った料理が「出る」という意味。「前」は一人前、二人前など「何人前」の分量を表すもの。
お店を「出」る時、何人「前」のそばを持つということころから、「出前」と呼ぶようになったのです。
その後、出前のサービスは、そば屋さんだけではなく、寿司屋さんやうなぎ屋さんでも行われるようになったのです。
宅配
お店から出来たての料理をお店から配達することに、初めて「宅配」という言葉を使ったのは、「ピザ業界」だといわれています。
日本で宅配ピザが登場したのは、1985年(昭和60年)。
アメリカで流行していた、ピザをお客さんの元へ届ける「デリバリーのスタイル」を日本へ持ち込んだ形になります。
デリバリーピザは、店内では食べられず、ピザを届けるだけの 配達専門店だったのです。
当時、そば屋さんなど、出前をしていたお店は、あくまでも、店内でお客さんに料理を提供するのがメインで、サービスの一貫として、注文した人の自宅に料理を届けていました。
しかし、デリバリーピザは、お店の外に料理を届けるのがメインの配達専門店という新しいスタイルだったので、出前をするお店と差別化するために、あえて「出前」という言葉を使わなかったのです。
そして、当時、お客さんの元へ荷物を運ぶ配送業者が使っていた「宅配」という言葉が使われはじめたのです。