「トイレットペーパーには、なぜシングルとダブルがあるの?」という疑問がありました。
アメリカから日本にトイレットペーパーが伝わる前、主に日本で使われていたのは「ちり紙」と呼ばれる長方形の和紙でした。
太平洋戦争の後、アメリカ軍が日本へ持ち込み、洋式便器の普及と共にトイレットペーパーも徐々に日本の家庭で使われるようになったのです。
1960年代頃までは、シングルしかありませんでした。
そこにダブルが登場したのです。
そもそも、紙には表と裏があり、表面はツルツルで、裏面はザラザラとしています。
ですから、シングルで、肌触りがいいのは片面だけで、必ずしも使い心地はよくありませんでした。
その問題を解決をしたのが、ダブルのトイレットペーパー。
ザラザラの裏面同士をくっつけるため、ツルツルした表面だけが肌に触れ評判がよかったのです。
さらに、ダブルは、紙と紙の間に空気が入ってふわっと柔らかい仕上がりになっていました。
しかし、このダブルのトイレットペーパーの登場が新たな葛藤を生むのです。
現在、売られているトイレットペーパーを見てみると、
例えば、シングルが60m、ダブルは紙を重ねているので、長さは半分の30m。
この2種類を多くのメーカーが同じ値段で販売していることが多いです。
ダブルは手間・コストがかかると思われがちですが、
シングルの方が、1枚の紙の厚みが分厚く材料を多く使用しています。
そのため、紙を長く巻き作業時間もかかるので、実はシングルの方がダブルよりもコストが高いのです。
企業側としては、ダブルだけ作った方がコスト安になりますが、なぜシングルも作られているのでしょうか?
ある調査では、トイレ1回の平均使用量(大の場合)が、
シングル(60m)では、1.77m 約33回分
ダブル(30m)では、1.46m 約21回分
とありました。
つまり、シングルの方が12回分多く使え、約1.6倍長持ちしたのです。
全国のアンケート調査では、
シングル 派 44.9%
ダブル 派 55.1%
とあり、
特に、関西のシングル率を見てみると、
奈良 85.7%
京都 57.1%
大阪 50.2%
奈良県にいたっては、ほとんどがシングル派。
関西では、長持ちするシングルの方が、お得だと思っているお客が多いと思われます。
商業施設や学校などのトイレでは、どんな人がどの程度トイレットペーパーを使うかは不明です。
ですから、長持ちしやすいシングルであれば、交換回数が少なくて済むシングルが多く使われています。
こういった理由でシングルも販売され続けているのです。
シングルはコストがかかっているので、値上げすればよいと思いますが、どうしてダブルと同じ値段で販売しているのでしょうか?
その理由は、作っている方もわからないという話でした。