私たちがよく見かける「赤いリンゴ」。
この赤いリンゴが消えてしまうかもしれないという話です。
国内最大の青果市場である東京の大田市場では、年間約4万トンを超えるリンゴを取り扱っています。
そこには、赤いリンゴもたくさん並んでいますが、「黄色いリンゴ」もありました。
日本一のリンゴの産地、青森県では、黄色いリンゴの栽培面積が右肩上がりに増えていました。
値段を比べてみると、
赤いリンゴ「ふじ」は、1kg 300円
黄色いリンゴ「王林」は、1kg 276円
と、黄色いリンゴの方が1割くらい安い。
青森県のあるリンゴ農家を見てみると、
10年前から、黄色いリンゴの栽培をはじめて、今(2019年)では全体の4割を占めていて、翌年には赤いリンゴとの割合が逆転するかもしれないという話でした。
なぜ、黄色いリンゴを栽培するのでしょうか?
実は、赤い品種のリンゴを作るには、着色管理をしなければなりません。
日陰になるとリンゴは赤くならないので、太陽の光が当たる方に青い部分を向けます。
私たちが当たり前と思っていた赤いリンゴ、
実は、農家が手作業で太陽の光に当てることで、赤くしていたのです。
陰にならないよう葉っぱを取り、日が当たらない部分はリンゴを回して日に当てる。
これを1か月間ほぼ毎日繰り返します。
一家4人で、毎年20万個以上。
この着色管理を怠ると、色がまだら模様になり、値段が大幅に下がってしまうといいます。
しかも、ただリンゴを回せばいいというものではなく、摘み取らないようにし、ゴムで固定したりもします。
地面には、日の光を反射するシートを敷き詰め、リンゴが赤くなるのを徹底しています。
しかし、農家の高齢化や人手不足で、こうした作業を続けることが難しくなっています。
そんな農家の救世主となったのが、着色管理のいらない「黄色いリンゴ」でした。
この黄色いリンゴは、海外でよく売れるといいます。
香港では特に人気があり、青森産のリンゴが6個で約5,000円で販売されていました。
香港の方に聞いてみると、
旧正月やお祝い事など贈答用に使われ、安心で安全な日本産で、この値段は安い方なのだといいます。
青森産の黄色いリンゴは、香港以外にも、台湾やベトナムなど9か所の地域に輸出されていました。
こういった理由で、黄色いリンゴが急増しているようです。