サッカーボールのデザインが、白黒ではなくなったのはなぜ?という話がありました。
過去のワールドカップで使われたボールを振り返ってみると、こちらの通り。
なぜ、デザインが変わっているのでしょうか?
もともと、サッカーボールは、「真円(完全な球体)」に近い物が最適な物に考えられています。
真円であればあるほど、まっすぐに転がり、狙ったコースにボールが飛びます。
ワールドカップが始まった頃のボールを見てみると、縫い目はラグビーボール、模様はバレーボールのよう。真円とはほど遠い革製のゴツゴツしたボールでした。
1960年前後当時、白黒テレビが普及しましたが、この茶色いボールは画面上でわかりにくいものでした。
それを変えたのが、1970年のメキシコ大会の白黒のボール」。これだと、はっきりとボールの位置がわかります。
このボールを展開したものがこちら。黒の五角形と白の六角形があります。
古代ギリシャの時代に「アルキメデスの多面体」という法則に基づいて、この形がより真円に近いというのがわかっていました。
一番球体に近いということで、これをサッカーボールに採用しました。
その後、より真円に近づくために、サッカーボールのデザインは変わっていきますが、1986年のメキシコ大会のボールは、デザインの大きな分岐点となりました。
ボールの素材が「牛革」から「人工皮革」に変わりました。
革は水を吸うと伸びたり重くなったりするので、人工皮革にすることによってより形状の変化が少ない物にした。
2006年のドイツ大会のボールでは、熱を加えて革を張り合わせる熱圧着が可能になったことで、32枚だったパネルが14枚に。表面のデコボコが減りより真円に近づきました。
その4年後、南アフリカ大会では、パネルがさらに減って8枚に。
さらに進化したと思われましたが、ボール自体が独特の動きをするようになってしまいました。
南アフリカ大会で、本田圭佑選手がデンマーク戦で無回転フリーキックを蹴り、予測もしない動きをしたためキーパーが反応できなかったというボールです。
真円に近づくほど空気抵抗はなくなるはずですが、このボールの場合パネルの組み合わせ方がまずかったのか、無回転で蹴るとボールの後ろに不規則な空気の渦が生まれてしまったのです。これがブレ球の正体です。
その4年後の2014年のブラジル大会では、このパネルの組み合わせ方を変えて、変化の少ないボールに改良されました。