三太郎の中で浦島太郎だけ名字があるのはなぜ?という話:日本人のおなまえっ!【2019/03/07】

昔話で有名な、三太郎といえば、「桃太郎」「金太郎」「浦島太郎」。

この三太郎の中で、浦島太郎だけ名字があるのはなぜ?という話がありました。

浦島太郎のあらすじ

昔々ある所に浦島太郎という青年がいました。

(中略)

竜宮城で3年過ごし 故郷の父母が心配で帰る

帰ったら景色が一変 村人に話を聞くと・・・

「浦島太郎って先祖がいたなぁ」

出会ったのは子孫 300年の時が過ぎていた

途方に暮れ玉手箱を開けておじいさんに。

浦島太郎 (新・講談社の絵本)

浦島太郎 (新・講談社の絵本)

  • 作者: 笠松紫浪
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2001/07/18
  • メディア: 単行本

当初の名前

京都府にある浦嶋神社は、浦島太郎を祭る神社として1000年以上の歴史があります。

この神社にある、奈良時代に書かれた最も古い浦島の物語、丹波国風土記(模写)を見てみると、

そこには、「浦嶋子(うらしまこ)」と書いてありました。

」というのは、男子の尊称

つまり、浦島という場所の男性という意味。

この浦嶋子が浦島太郎になったのは、室町時代の初期。

室町時代から現代の間に名前と名字が分けられた。

名字が付いた理由

でも、なぜ浦島太郎にだけ名字が付いたのでしょう?

苫小牧駒澤大学の林晃平 先生によると、

その理由は物語の終盤にありました。

竜宮城から帰ってきた浦島太郎が、子孫と出会い、300年の時が過ぎたことを知るあの場面。

そこには、ほかの物語にはない、浦島太郎だけの特徴があるといいます。

竜宮城から戻ってきたときは、両親もすでにいない、七代後の孫に会った。

戻ってきたことによって、先祖と子孫を再認識する。

」という意識が物語の中に当然出てきます。

室町の頃になると、長男の相続というものが広がって、社会的に認められたという考え方が背景にあった。

室町時代より前は、財産、つまり土地は、一族で分割相続するのが主流でした。

しかし、一人一人が独立していくと、土地がどんどん小さくなってしまい、次第に弱体化していきます。

その対策として、長男に全てを相続させ、一家で財産を守る方法が考え出されました。

これにより、「○○家」という家の名前のもとに、一致団結の社会へと進むのです。

そして、浦島太郎はまさに、家の概念を人々に教える物語と捉えられるようになります。

その結果、浦嶋子という名字がなかったおなまえが、浦島太郎というほかにはない名字のあるおなまえになったのです。

うらしまたろう (世界名作ファンタジー41)

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  • 作者: 平田昭吾,高田由美子
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 1998/01/27
  • メディア: 単行本