なぜ、鼻の穴は2つあるのか?という話がありました。
これを、文京学院大学の樋口先生が解説していました。
私たちの祖先が一番頼りにしていた感覚が「嗅覚」、つまり「鼻」。
視覚が発達しておらず、生きるために必要な食べ物や獲物探しを嗅覚に頼っていた。
最も重要なのが、子孫を残すことも、嗅覚に頼って相手を探していた。
今でも動物たちは、体臭、すなわちフェロモンを出して異性を引きつけている。
そんな重要な匂いの場所を特定するために、人の鼻は左右に1つずつ、合計2つ備わっている。
2つあることで、左右の鼻の穴に入る匂いの濃さの差が分かる。
より匂いの濃い方に匂いの出元が特定できるのです。
さらに、私たちの祖先の段階では、鼻の穴が4つあった時期がありました。
その動物がまだ私たちの身の回りで生きています。
それが「魚類」です。
はるか昔、生命は海から誕生した。その頃から大きく姿が変わらない魚類は、今でも鼻の穴が4つあります。
魚は泳ぐ時に、水に溶けた物質を匂いとして嗅ぐ。
鼻の穴が4つというのは、入り口と出口が左右にあって、水の流れに乗って効率よく匂いを嗅げるようになった。
その名残が私たち人間の顔にも残っている。
魚でいう「水の入口」にあたるのが、ヒトの「鼻の穴」。
「水の出口」にあたるのが、目頭の「涙点」という小さな穴として残っている。
この穴は、今でも鼻の穴とつながっていて、目にたまった涙を逃す穴。
よく、泣くと鼻水も一緒に出ますが、これは涙点を通って鼻から出ていたのです。