ヨーロッパと中央アジアをまたがる「カスピ海」。
塩水でできた世界最大の湖として有名ですが、
実は、湖であるカスピ海は、昨年(2018年)8月に事実上、海になったと報道されました。
いったいこれはなぜでしょうか?
湖の底にある石油や天然ガスなどの資源を巡り、カスピ海に接する5か国が長年にわたり論争。
ポイントは領域。
湖の場合は、沿岸5か国で資源を共同管理することになるのですが、
海になると、国際法によって領域が決められます。
そのため、海になれば自国で資源が取れる4か国(ロシア・カザフスタン・アゼルバイジャン・トルクメニスタン)は「海」にしようと主張。
しかし、配分が少なくなってしまうイランは長年「湖」と主張してきました。
では、なぜ急に海になったのでしょうか?
この論争に転機を与えたのは、アメリカによるイランへの経済制裁。
また、ユーラシアへの影響力強化を狙うアメリカのカスピ海への軍艦配備を沿岸5か国は警戒。
それらの問題を解決すべく、昨年行われたサミットで、長年「湖」としてきたイランが譲歩。
その結果、沿岸国のさまざまな主張の解決策として、各国に「領海」を設置。
事実上「海」としてみなされるようになったのです。
カスピ海エネルギー資源を巡る攻防 (ユーラシア・ブックレット)
- 作者: 輪島実樹,ユーラシア研究所ブックレット編集委員会
- 出版社/メーカー: 東洋書店
- 発売日: 2008/02
- メディア: 単行本