筑波大学の小池関也 先生がスポーツ選手の動作を分析していました。
全身の運動方程式(関節トルク+重力+運動依存=加速度)を野球のスウィングで例える。
まず「関節トルク」。人間の関節には筋がまたがっていて、その筋が緊張力を発揮すると、関節に回転の作用が生まれる。
次に「重力」。地球上にいるのでバットには質量があり、下に落とされる。
次に「運動依存」。バットを振り回すと回転運動が生じた際の遠心力の作用のこと。
この3つ各項が作る加速度を全部足し合わせると、観測される加速度になる(バットのヘッドスピードを生む)。
というのが運動方程式。
この式を図で表すと、↓こちらのブロック図になる。
重要なポイントはループ状になっている部分。
筋力や重力が生み出したスピードに、遠心力が加わり更に大きくなることを表している。
これが時間経過とともに繰り返され、インパクトに向けてスピードが雪だるま式に増大していく。
それを数値化したものが、↓こちらのグラフ。
関節トルクは最初上がってきて、インパクト付近では落ちている。
つまりこのグラフからわかるのは、ヘッドスピードのほとんどを運動依存と遠心力で作っているということ。
腕に力を入れて振ろうとするのではなく、
運動依存(遠心力)をうまく作れるバッターは、ヘッドスピードを大きくすることができる。
↓こちらのグラフは、左側のグラフが野球部の学生などの平均、右側のグラフが元プロ野球選手のデータ。
( ← 左:学生などの平均 | 右:元プロ野球選手 → )
元プロ野球選手の方が、学生に比べるとバットの振り出して強めに筋力を使っているが、インパクト前には急なカーブで落ちていることがわかる。
同じようにゴルフもほとんどが運動依存。
一方、違うのはやり投げ、ほぼ関節トルク(筋力)で投げている。

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