古舘伊知郎の「おき」と「ごと」の話:人志松本のすべらない話【2020/01/11】

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フリーアナウンサーでタレントの古舘さんが興味深い話をしていました。


これはね、僕の勝手な言葉に対するこだわりが強いのかもしれないんで、申し訳ないかもしれないんですけど。

去年、2019年の5月ですかね。

松本人志さんとたまたま飲む機会があったんですよ。

かなり、お互いに酔っぱらってたんですけど。

ちょうど、令和に切り替わる瞬間だったんで、「松ちゃん。12時またいだ!」みたいな。

何だか、分かんないけど、おめでとうとか、言い合う感じに。

そしたら、ちょっと経ってから、「古舘さん、言葉に対するこだわりが強いんで、聞いてみたいことあるんですわ」って。

「いやぁ、何でもっつうわけいかないけど」っつって、勢いで言った。そしたらはっきり覚えてんだけど、

「『おき』と『ごと』の違いって、何すか?」みたいなこと言って。

「おかしいんですよ」松ちゃん言うわけ。

「あの男は30秒おきにドアをノックしやがった」

「あの男は30秒ごとにドアをノックをした」

「おなじですよね。だけど、何なんすかね?」

「1年おきに来るんだよあいつ」

「1年ごとに必ず来るんだよ」

意味違ってきますよね?

1年、ぽんとおくとか、おかないとか。

「これ、どう違いがあって、どこが似てんですか?」みたいなことを言ってくれたから、ものすごい勢いに乗って言おうと思ったんだけど、正解見いだせてないんですよ、俺。

だけど、引っ込みつかない。見栄っ張りで。

言葉で振られたから、どんって返そうと思って、勢いだけ。

「あのね、松ちゃんね、『おき』っていうのは、1度、分断されるんですよ、ニュアンスが。飛び石連休の飛び石みたいなもんですよ。『おき』って、1日おきにこの薬服用してくださいってことは、1日おくんだから一度分断される。ところが『ごと』ってのは毎日の『毎』だから連続性を持ってる」

と。ねっ。

「1日ごとにっつったら、1日1回飲むんだからずっと続いていく。この違いがはっきりしてますよね」って辛うじて言った。これが正解だと分かってないけど言った。

そしたら、「そういうふうに、すぐ返すとこがすごいんですわ」っつって、違う話になったの。

まったく納得できない。自分自身が。

やっぱり、天下の松本人志に嘘とは言わないけど、ニュアンスだけで逃げた自分も許せない。

ほいで、だいぶ遅くなって別れてからうち帰って寝るまでもうね、首っ引きですよ。このスマホと。ほいで徹底的に検索した。

したらね、やっぱり国語教師用にちゃんとマニュアルみたいなのがあって、いっぱい書いてあるんですよ。

「おき」と「ごと」の違いに気を付けて。あるいは英会話を教えてる先生にも英文に直したら大変なことなんで気を付けてくださいっていう、そういう例は、いっぱい載ってんですけど、そこで辛うじて分かったのは、ちっちゃい単位のときはおなじなんですよ。

「1時間おきに起きちゃった」「1時間ごとに目が覚めちゃった」おんなじなんですよ。ところが、小さい単位じゃなくて長い単位になって、例えば、オリンピック。3年おきに開かれるでしょ?4年ごとに開かれてるんですよ。変わってくんですよ。

だから小さい単位の場合は同じなんだけど、離れたら二股に分かれて意味が変わってくる。

それ分かったんだけど、まったく納得できないんですよ。

これだけだったら電話もできないですよ、僕。

どっから枝分かれするかが出てないから。

イライラ、イライラして。

松本人志に、きちっと言いたいって。あのとき、逃げ切っちゃったから。

だから、どうしようかなと思ったけど、ついに、国語学者の金田一先生に電話したんです。

金田一京助、金田一春彦、金田一秀穂さん。まさに国語界の世襲制、ね。

そこにフジテレビで一緒に番組やってたことあったから、ディレクターから電話番号聞いて、申し訳なかったんだけど電話した、一念発起で。

そしたら留守電で、結果的に地方行ってたみたい。

留守電になっちゃうんだけど、久しぶりだから気が引けるんですよ。

「大変、申し訳ない。たまたま朝日新聞で3日前の朝刊に載っていたオピニオンのところで、先生の言葉に対するこだわりのところを専門領域でお聞きいたしまして、このごろは若い方々が『コンビニさんを曲がって』とか『スタッフさんに元気づけてもらって』とか、みんな『さん』付け。関西の人じゃないのにしますけど、あれは本当に間違いで、あれは素晴らしいことでした」って、留守電にどうでもいいこと一所懸命入れたの。

「それはさておき、ある方から『おき』と『ごと』の違いを聞いて、私がしっかり答えられなかったのが憤懣やる方ないんで、先生教えていただきたい」って3日連続でやったけど、返しないんですよ。

嫌われてんのかなと思ったんだけど、4日目に「地方から帰ってきました、古舘さん。何事ですか?」って電話があったの。

で、もううれしくなって・・・、名前出しちゃいけないと思ったんで、「ある方が『おき』と『ごと』の違い、どっから分かれたんだっていうのを聞いててね、単位がちっちゃいとかおっきいとかで変わるっていうのは辛うじて分かったんですけど、先生教えてください」っつったら、

ケラケラ笑って「よく、来るんです。われわれの国語界の世界では。定番の疑問、質問です」って。

うわ。教えてくれるんだと思って「どっから分かれますか?」と、「『1日おき』と『1日ごと』変わってくるし、長い単位のどこがボーダーラインで意味が変わってくるんですか?」

「まったく、意味はありません」って言われたの。

「どういうことですか?」って言ったら、

「われわれ言語界の中でもはっきり言えます。謎なんです。答えは分からないんです。」

「えっ?枝分かれしてる瞬間も、何もない?」

「何にもありません。そこに数字が乗ってきて『24時間ごと』とか『24時間おき』とか、例えばそういう複雑な数字が絡み合ったときでも、個人差があって、『おき』と『ごと』一緒っていう局面と、人によっては違う意味が」っていうんで。

神学論争っつってね、神様の学問で論争し始めると答えが出ないっていう「神学論争で謎のまんまです」とはっきり答えをくれたんです。

以上、この「すべらない話」に代えさせていただきたいと。

以下は続き

松本:これね、僕も・・・。あれから僕も考えてたんですよ。

松本:2日ごとにゴリラにどつかれるのと、2日おきにゴリラにどつかれるのは、やっぱちょっと違うなって思わない?

古舘:2日おきだとゴリラは休憩してくれてる。

松本:してくれてる感じがするでしょ?ちょっと助かるんですよ。

松本:月曜日にゴリラにどつかれたら、2日おきやったら木曜日まで何か「火」「水」は楽できるかなって感じするんです。

松本:でも、「ごと」は、何かもうあと2日、あと1日でどつかれるっていう恐怖心がずっとある。水曜の感じがある。

松本:ゴリラはゴリラで思うやろうしね。

松本:2日ごとにどつくのもだるいなって。

古舘:ただ二頭筋すごいからね、ゴリラは。

松本:何ちゅう話や。

言葉は凝縮するほど、強くなる - 短く話せる人になる! 凝縮ワード -

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