なぜマラソンをすると脇腹が痛くなるのか?という話があり、
筑波大学附属病院 消化器内科 の 松井裕史先生が説明していました。
人間の臓器は左右で異なっているので、痛くなる原因も右と左で違うといいます。
右側が痛くなる理由は?
主に走る振動で肝臓が揺れることが大きい原因。
肝臓は右の脇腹にあり、重さは大人で1.5kg。
体の中でいちばん重い臓器。
走ることによって、この重たい肝臓が揺れる。
横隔膜と肝臓をつないでいるじん帯が引っ張られ、痛みを感じるようになる。
左側が痛くなる理由は?
大腸にガスがたまることが原因と考えられる。
そのガスは呼吸や食事の際に、口から飲み込んだ空気と、腸内の発酵によって発生するもの。
通常、腸は「蠕動運動(ぜんどううんどう)」という、筋肉を収縮させ送り出すような動きをして、ガスを排出している。
しかし、走っている時は腸よりも筋肉に血液が集中するため、その蠕動運動が止まってしまう。
そして、左脇腹には大腸の大きな曲がり角があり、走る振動によって軽いガスがそこにたまってしまう。
腸には神経が集中している。ガスで大腸が膨らむと、この神経が刺激されて痛みの原因になると考えられている。
左側が痛くなる理由は?その2
胃の下ぐらいのところに、「ひ臓」という血液をためておく臓器がある。
走ると臓器から筋肉に向かって急激に血液を送り出そうとして、過剰に動くので、ひ臓が腫れて痛むこともある。
もし脇腹が痛くなったら?
・右側は、内部の筋肉(インナーマッスル)を鍛えていると揺れも少なくなるので、ふだんから腹筋を鍛えておくとよい。
・左側は、ろっ骨の下、左側を押してガスを逃がす。その後左手を上げるとろっ骨が上に上がって左側の腸の曲がり角のスペースを広くしてあげる。