居酒屋に行ってグループで話をしている時、
酔ってくると、同じ話題をぐるぐる何度も繰り返すことがある。
これはなぜか?
トポロジーグラフ理論が専門の大学院生 鈴木ひかるさんが話をしていました。
例えば、以下のような会話。
・「もうすぐ桜が満開になるな・・・、今年は誰が花見の場所取りをするんだ?」
・「寒い公園に座らせておくだけの場所取りは、パワハラらしいですよ」
・「俺たち若い社員に気をつかう日が来るとはなぁ」
・「そういえば、コンプライアンス研修でも、昔とは違うって釘を刺されました」
・「あの研修をするコンサルタント会社、川沿いの桜並木がきれいな通りにありますよね」
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・「もうすぐ桜が満開になるな・・・(以降、繰り返し)
「花見」という戻ってくるパターンや、「桜」がキーワードなど、そういった単語を数値化する方法がいくつかある。
スマホやカーナビなど言葉を使って操作できる機械は、私たちの周りにたくさんある。
そこで使われている自然言語処理には、数学が使われている。
一般的によく研究されているのは、この空間の中に単語の番地を与えるというもの。
さらに、最近その空間を少し歪んだ空間にしようという研究が出てきた。
ここに、ポアンカレディスクという図形がある。
三角形があるが、周縁部に行くに従って小さくなっている。
でも、この歪んだ空間の中では、異なる大きさに見える三角形が全部同じ大きさを意味している。
例えば「ねこ」から始まる会話が枝分かれして、展開していくとする。
このように膨大なパターンを観察するのには、歪んだ空間が役に立つという。
普通の空間だと、たくさん枝分かれしてしまうと、それが入らなくなる。狭くなってしまうイメージ。
それが便利グッズのように詰め込めてしまう。
ここに、又吉直樹さんと糸井重里さんの対談の文章がある。
又吉さんが初めての小説を発表した直後の対談の中から文章をピックアップ。
糸井「小説、おもしろかったです」
糸井「手応えみたいなものがあったんじゃ」
又吉「これまで小説を書いたことがなかった」
又吉「どう思われるやろというような緊張感」
糸井「お笑いはきっと、ものすごく変わった」
又吉「1発目よりもはるかにウケたんです」
又吉「相方先輩たちもわかってくれていて」
糸井「つまり個性があるものですね」
など。
この対談をグラフ化、歪んだ空間に配置(ポアンカレディスクに埋め込む)して、可視化したものがこちら。
出てくる単語の順番や、そのつながり方で配置が決まってくる。
次の話、次の話、というふうに、単語を経由して文章の流れが見えてくる。
ある文章のキーワードになっているものが見えてくる。
又吉さんの小説の話、お笑いについてなど。
居酒屋の話ように、話題が繰り返す理由は、まだわかっていないが、この可視化がそれを解決するための一歩だという。