焼き肉のメニューに出てくる「カルビ」。
実は、どの部位のお肉かという明確な定義はないそうでです。
そもそも、「カルビ」というのは「部位の名前」ではない。
牛肉は、国が定めた基準によると、11の部位に分かれている。
例えば、「サーロイン」は、一般的に腰の周りのお肉のこと。
「ヒレ」は、「サーロイン」と「らんぷ」の下側、「リブロース」は肋骨付近にある背中側のお肉を指す。
確かに、この中に「カルビ」の文字は見当たらない。
実は、「カルビ」というのは「メニューの名前」。
韓国語の「カルビクイ」が語源だと考えらている。
韓国語で、「カルビ」は「アバラ骨」、「クイ」は「焼く」という意味。
カルビクイは、脂身のある骨付きアバラ肉を焼く料理。
これが日本で広まった際、名前が省略され、「カルビ」と呼ばれるようになった。
日本でも初めの頃は韓国同様に「脂のある骨つきアバラ肉」を客に出していた。
しかし、「骨つきは食べづらい」という理由から、骨が外された。
そして、アバラ部分は、部位として非常に大きく切り分けるのが困難などの理由から、
1960年ごろの日本では、アバラ肉以外も脂身があれば「カルビ」に。
リブロースやサーロインの脂身のある部分などがカルビとして提供された。
この名残から「カルビ」に使われる肉は、「脂身があればどこの肉でもよい」という認識に変わっていった。
昔の焼肉店の精肉メニューは、カルビとロースくらいしかなかった。
カルビは「脂身の入った部分」に対して、ロースはそれ以外「赤身っぽい肉」と、あいまいな基準で提供されていた。
しかし、約10年前(2010年頃)から、部位が細かく表示されるようになった。
そのキッカケは、客からのクレーム。
脂身ではない肉は全てロースと曖昧な基準に従って提供したところ、ある客が「ロースじゃない、ももだ」とお店にクレームを入れた。
このクレームを問題視した国は焼肉店に対し、細かくメニューを表示するよう要請。
この結果、「ロース」として出していいのは、(かたロース・リブロース・サーロイン・ヒレ)。
「もも」として出していいのは、(らんぷ・そともも・もも)などと決まった。
では、カルビは?
当時の消費者庁の人の話によると、「カルビは部位名ではないので、脂身が入ってなくとも、どこの部位を使ってもかまわない」となった。