場所は、兵庫県丹波篠山市の黒岡川。
ここに、勝手に川を埋め立てた男性(77)がいた。
Q:川に木を植えてらっしゃいますよね? どういう事情か聞かせてください。
男性:草が生えとるよりきれいでんがな。
Q:この河川敷の木を自分で植えた?
男性:私が植えたんや、植えたらいかんという法律どこにもないよ。ショベルカーいれて1000万円超えている2000万円近い。
Q:自腹で払った?
男性:そうです。
Q:これ、ずっと向こうまで?
男性:上から下まで。
一見、川幅が狭いようにも見えるが、実は本来の川幅は約2倍の長さ。
左側の緑に見える部分は男性が勝手に埋め立てたもの。
ショベルカーまで持ち込んで行われた埋め立ては、約1キロにわたる。
20年もの歳月の間続けられてきたという。
数年前に撮られた写真には、川の中にショベルカーが入り、周囲の土砂を掘り起こしている様子があった。
Q:許可はどこでとった?
男性:いや、いらないですよ。川掃除するのにいちいち昔の人から、私、子どものころからこの川見てるけど、川掃除するのにいちいち、すんませんけど川掃除させてもらえますなんか、誰も言ってないです。
Q:何かをしようとしたときに許可がいりますよね?
男性:当然です。
Q:その許可は、いつごろおとりになられました?
男性:あの、もらえないですよ。
Q:もらいました?
男性:いや、もらってないですよ。もらってないけれど、
Q:もらってないけれど、重機を入れて木を?
男性:住民のために。あなた方、こういうふうな川にしなさいよ、してほしいんですよと、住民が頼んでしてくれるもんじゃないわけ。あなた方がしないんだったら、じゃあやりますよ言ってやっただけ。私にだけ金ださせて、私にだけ川掃除さすんじゃなくて、河川管理課、そういう名前がついてるんであれば、少しくらい手伝ったらいいんじゃないかと。
この男性に対して、周辺の住民は?
Q:やめさせようなんてことは?
住民:なんべんもやってます。県の担当者も来て、なんべんもやってます。我々もなんべんも言ってます。自治会としても草刈りもやってるんやけど、中に入って切ったら怒るんですよ。「これはちゃんと植えてるやつやから、わしが管理してるから触るな」って。興奮してるときは怒鳴ってる感じですね。
元町議会議員を務めたこともある男性。
しかし、議員をやめた後から迷惑行為が増えてきたという。
男性がした迷惑行為はこれだけではない。
はさみで電線も切ったという。
蛍の光が見えないという理由で、防犯用電灯の電線を切断。
夜明かりが漏れている家を探し、勝手に電球を外して回ることもあったという。
この件に関して男性は?
Q:これ(電線)無断で切ったら、よくないんじゃないですか?
男性:えぇ。
Q:よくないけど、どうしてされました?
男性:いや、えっと・・・、球だけをひねって消したんです。ほしたら、球を戻す変な人が出てきて、(電線を)これじゃあ切ってあげんと、その人に意味がわからんのやなということで、ほんで(電線を)切ってあげて・・・
Q:やめようとは思わない?
男性:いやいや反対に、人間のエゴの方をよう考えてみなさいと。
Q:真っ暗になって、防犯上何か危ない目にあったときどうする?
男性:それくらい残ってるんですよ。今どきは携帯にもライトついてるし、当時やったころはそんな機器はないけれど、たいがい暗いとこ歩くときは、人間、立派なもの懐中電灯持ってますよ。
Q:防犯灯って危ないところにちゃんとつけてるわけですよね?
男性:でもないですよ。ご覧になったらわかるけど。
Q:いやいや暗いですよ。初めて来たから歩けないですよ。
男性:これで十分通れますよ。
県は住民からの要望を受けて、ついに伐採に着手。
一ヶ月かけて生い茂った木々を取り除いた。
しかし、昨日(2020/06/25)、改めて現場を訪れてみると、
草木は伸び、台風シーズンを前に再び危険な状態に。
県によると、
測量をした職員が怒鳴られたり、撤去したはずの植木鉢などが、また川の同じ場所に戻されたりしたこともあるという。
改めて男性に聞くと、
Q:これ今回植木鉢いったん撤去されてるんですよね?
男性:彼らが勝手にしたんや。
Q:どうして、またあるんですか?
男性:戻したんや、元あったとこへ。
Q:誰が?
男性:私が。
Q:どうして?
男性:余計なことさせられた。これも損害賠償の対象ですわ。誰に断って人様のものいじくっとんねん。
Q:今回は2月にこれまで20年以上かけて植えた木を撤去されたわけですけども、許可なくやっていたじゃないですか。これからは許可なく勝手に川をいじらないって約束してもらえませんかね?
男性:できませんね。切られたところにビワを植えてやろうと思ってね。種採っとんねん。
これまでのトラブルの経緯
2000年ごろ、男性が川に樹木を植え始める
→ 住民は改善を県に相談 → 男性に注意・指導し警察に相談するなど対応 → 状況は改善せず
2014年、台風で河川の氾濫危機
2017年、周辺住民の連盟で河川改修の要望書を提出
2020年2月下旬、県が樹木伐採工事を開始
2020年11月以降、県は土砂撤去作業を開始予定
男性のこの行為は、行政の許可をとらない河川法違反となるが、
なぜ、県は法的措置を取らないのか?
県によると、
「男性を注意しに行った職員が怒鳴られたり訴訟を起こされたこともあり、慎重な対応になってしまった。
樹木の伐採には約600万円かかったが、その費用は全て県の予算から賄う。
河川環境の悪化がすべてこの男性の行為によるか判断ができないため費用の請求は難しい。」
とのことです。