なぜ「つゆ」は「梅」の「雨」と書く?という話がありました。
これを 山口 謠司 先生 が説明していました。
実は、「梅雨」という言葉は中国が発祥。
そもそも梅雨とは、6から7月にかけて雨の多い時期を指す。
梅雨の天気図を見てみると、
中央の線が天気予報でもよく耳にする「梅雨前線(ばいうぜんせん)」。
梅雨の時期に雨をもたらす雨雲の一帯。
この梅雨前線をよく見ると、
朝鮮半島から中国の南方、長江の下流域にまでかかっている。
梅雨は日本特有のものだけでなく、中国などアジアの一部でも起きる気象現象。
なぜ「梅の雨」と書いて「つゆ」と読むのか?
もともと中国では、「梅の雨」ではなく、別の漢字が当てられていた。
6月の時期に降る雨は、カビをもたらす雨ということで、「黴(カビ)の雨」と書いて「バイウ」と発音していた。
今は、現代中国語なので「メイユー」と発音する。
しかし、ただでさえジメジメしているのに、「カビの雨」ではイメージが悪い。
そこで、黴の「バイ」と同じ発音だった 梅の「バイ」の字が当てられた。
中国で、梅雨の6月ごろに収獲を迎える「梅」。
中国で生まれた「梅雨」が日本に伝わってきたのは「奈良時代」。
当時の漢詩や和歌などを集めた本「和漢朗詠集(わかんろうえいしゅう)」というものがあるが、
ここには、「梅雨(ばいう)」と書かれた詩の 一節も残っている。
梅は古くから日本人に愛されていて、貴族など特権階級の人たちは、梅の花を鑑賞して楽しんだ。
ちなみに、現在の日本の元号「令和」、これも「万葉集」にある、梅を見てみんなで和歌を作った記念に書いた文章の 一節。
梅は日本でも良いイメージだったため、そのまま「梅雨」という言葉が定着したのではないかと考えられている。
しかし、日本では「ばいう」だけでなく「つゆ」とも読むのはなぜか?
これは諸説あり、山口先生が知る限り2つの説がある。
1つ目が、「露(つゆ)」。
毎日のように雨が降るこの季節。木々には水が滴り、その様子がまるで露が降りたように見えることから「つゆ」と呼ぶようになった。
2つ目が、「梅ぐちゃぐちゃ説」。
6月ごろに旬を迎える梅。熟した梅は、ちょうどこの季節の雨風で地面へと落下し、ぐちゃぐちゃに潰れてしまう。「潰れる(つぶれる)」を昔は「潰ゆ(つゆ)」と表現していたため、「つゆ」と呼ぶようになった。