なぜ、魚のタイは赤いのか?という話がありました。
これに関して、海洋研究開発機構の研究員、藤原義弘 先生 が説明していました。
人間にとっては、赤はすごく目立つ色ですが、タイが暮らしている場所では体を守るための保護色になっている。
水族館で、深海の生き物を見てみると、タイの他にも、エビなど赤い色の生物が多い。
特別な水槽を使って、赤い色が水深によってどう見えるか再現してみると・・・、
浅瀬で真っ赤だったタイは、
水深50mの再現では、色を失い周囲に溶け込んで、目立たなくなった。
これはなぜか?
それは、深い所まで水の中に赤い光が届かなくなるから。
光は普段、白っぽく見えているが、実際にはいくつもの色が混ざっている。
例えば、リンゴが赤く見えるのは、リンゴに当たった光のうち、赤以外の光は吸収され、
赤い光だけが多く反射して、わたしたちの目に届くから。
タイも同じ理由で赤く見える。
しかし、水深が深くなると、反射する赤い光がなくなり、タイは赤く見えなくなり、周囲の色に溶け込む。
地上と水の中では光の環境が違う。
水は、赤い光を一番最初に吸収しやすい性質を持っている。
光が水の中に入っていくと、色によって吸収されるタイミングが違う。
赤は、その中でも、一番最初に吸収されてしまう。
タイは、自分が暮らす環境で目立たない色となる赤を進化の過程で選んだと考えられている。
実際に、いろんな色が付いた写真を海の中に沈めてみる。
色は、赤、だいだい、黄、緑、青、紫、黒。
水深10メートル。
鮮やかな赤が色を失い始める。だいだい色も赤みが抜けておとなしい色になる。
水深40メートル。
タイが暮らす水深40メートルでは、赤は完全になくなり、タイと同じように、周りの色に溶け込む保護色になった。
水深70メートル。
青が水の中で一番深くまで届く色。黒も。
この時、黒っぽく見える赤と比べてみると、黒の方が輪郭がくっきりしている。魚は相手を色ではなく、コントラストで見分けている可能性があり、タイの住む水深では、赤の方が輪郭がぼやけて目立たないと考えられる。
水深100メートルまで来ると、暗くてほとんど姿が見えない。
そんな暗闇に、ぼんやりと光る色がある、それがワイシャツなどの白色
白はいろんな光を全部反射してしまう。
深い所に行った時も、そこにある僅かな光でも全部反射するので、最後まで白が目立つ。
ちなみに、海の中で一番目立つということは、敵にも発見されやすいということです。