殺菌・滅菌・除菌・抗菌の違いは?という話:チコちゃんに叱られる!【2020/07/10】

殺菌・滅菌・除菌・抗菌の違いは?という話がありました。

これについて、日本環境感染学会の薬学博士、木津純子さんが説明していました。

一般的な製品に書かれた、殺菌・滅菌・除菌・抗菌の表示については、さまざまな法律や規約によって定められている。

「医薬品医療機器等法」「日本産業規格」「日本薬局方」「家庭用合成洗剤及び、家庭用石けんの表示に関する公正競争規約」など。

基本的に菌やウイルスは何もしないと増殖するが、その菌やウイルスにどのような効果を与えるかで、表現が分かれてくる。

殺菌

「殺菌」は、菌を殺すことをいう。

その中でも、主に病原菌などの有害な微生物を殺すことを「消毒」という。

殺菌や消毒といった表示は、法律にのっとった「医薬品」や「医療機器」、「医薬部外品」だけに使うことができる。

手の消毒によく使っているアルコールスプレーは、アルコールが手についている菌の中に入り込んで殺してしまうことで、手がキレイになる。

私たちの手には、目に見えないほど小さな最近や微生物が無数に存在していて、中には人間に悪影響を及ぼすものもいる。

そこにアルコールスプレーを吹きかけると、細菌よりも小さなアルコールの分子が細胞膜に入り込み、その膜を壊して中身を溶け出させたり、中にあるたんぱく質や器官を変化させて栄養を摂れなくさせたりして殺す。

他にも、アルコールが蒸発する際に、細菌から熱や水分を奪って殺す効果もある。

また、ウイルスの場合は、エンベロープという膜を壊すことで、細菌と同じように活動できなくさせている。

一方、細菌やウイルスの中には「ノロウイルス」や「セレウス菌」など、アルコールがほとんど効かないものもいる。

ちなみに、人間がアルコール消毒しても死なないのは、なぜ?

細菌は1つの細胞からなる単細胞なので、「細胞の死」とは、つまり「細菌の死」を意味する。

しかし、人間は無数の細胞が集まってできている多細胞生物。

アルコールの影響で、皮膚の表面の細胞のいくつかが死んだとしても、新たな細胞が生まれるため、人間の命に影響はない。

更に、死んだ細胞である角質が バリアとなって守っているので、人体にほとんど影響はない。

滅菌

「滅菌」は、ほぼ全ての微生物を完全に殺すことをいう。

例えば、高温で熱したり、特殊なガスを使うことで、限りなく無菌に近い状態にできる。

そうすることで、医療品や医療器具を清潔に使える。

除菌

「除菌」は、細菌を取り除いて活動を抑えることをいう。

つまり、菌は生き残っていることがある。

例えば、除菌効果のあるウェットティッシュは、直接 細菌を拭き取って数を減らしたり、拭き取った後もウェットティッシュに含まれた薬品の成分で、細菌の増殖を抑える効果がある。

しかし、きちんと拭けてなかったり、薬品の影響を受けずに細菌が生き残ったりする可能性があるので、こまめに除菌することをオススメする。

抗菌

「抗菌」は、菌の増殖を抑えることをいう。

学術的には、殺菌や除菌など全ての菌に対する効果を「抗菌」というが、ここでは「抗菌加工された製品」という時の「抗菌」。

抗菌加工の製品には、細菌が嫌がる成分が含まれていて、その表面で細菌の増殖を抑えることが目的。

例えば、銀や銅などで抗菌加工されたものは、金属中のイオンが細菌のたんぱく質と結び付いて、活動を抑えると言われている。

しかし、抗菌加工の製品は、増殖を防いでも細菌がいる可能性がある。

使用後はしっかり洗って清潔にすることをオススメする。

まとめ

殺菌や滅菌は、細菌をしっかり殺すことで清潔に。

除菌や抗菌は、増殖を抑えて清潔に保つ効果がある。

つまり、4つの違いは、

殺菌は、菌を殺すこと

滅菌は、菌を完全に殺すこと

除菌は、菌を取り除くこと

抗菌は、増えないようにしている

となる。

余談

ちなみに、お酒を飲めば殺菌できると思っている人もいるかもしれないが、アルコール度数が70%〜80%の濃度のお酒を飲んでも、胃の中でいろんなものと混ざって濃度が薄くなる。また、悪い菌のほとんどは腸にいるので、アルコールの効果は届かない。

高濃度のアルコール飲料を薄めずに飲むと、のどや食道を傷つけることもあるので注意が必要。