大都市で初!?ロサンゼルスの電車・バス完全無料化へ!という話:あさチャン!【2020/09/10】

アメリカ・カリフォルニア州のコロナ感染者数は、全米の州で最多の約74万人、死者数は約1万4000人に上っている。

中でも、ロサンゼルスからは、最も多くの感染者が出ていて、今も飲食店での屋内営業やショッピングモールなどの営業は禁止となっていて、経済的ダメージは大きいまま。

ここで、ロサンゼルスは大胆な試みに乗り出した。

ロサンゼルス郡の交通局、メトロが運営する電車とバスの運賃は、

1回の乗車で1.75ドル(=200円弱)で、1か月乗り放題で100ドル(=1万円余り)となっている。

ロサンゼルス郡メトロ
メトロ車内

メトロは今月(2020年9月)初め、この運賃を完全に無料とするための、タスクフォースを立ち上げた。

ロサンゼルス郡都市圏交通局のCEOによると、

電車とバスが無料になれば、特に低所得の困窮世帯の家計にお金が戻り、その分自由に使えるお金になるのです。

とのこと。

ロサンゼルス郡の住民の年収の中央値は、約680万円(6万4251ドル)だが、

メトロの電車とバスを利用する人は、年収200万円前後の低所得者層が多い。

使えるお金を増やして経済を活性化させることと、排出ガス削減のための車依存を減らすことが、完全無料化の主な狙いとなっている。

メトロ利用者によると、

・新型コロナの状況下で電車・バスの無料化は大きい。仕事を失った人もいるし、毎月定期収入を得るのは難しい状況だから。
・タダになって利用者が増えすぎて、混雑して蜜になるのを防げるのなら良いんだが、良い面、悪い面、両方だね。

などの意見もある。

公共交通機関の完全無料化は、比較的小規模な国や自治体では、既に導入しているところもあるが、ロサンゼルスで実現すれば、世界の主要な大都市では初じめてとみられる。

そんな中、課題も見えてくる。

・安全面では、完全無料化で、車内が蜜になる可能性があるので、マスクの着用や車内消毒の徹底が必須。
・財政面では、現在、運賃で回収している年間300億円前後を補助金や広告収入などで賄う予定。

他にもロサンゼルス特有の課題もある。

南カルフォルニア大学のある先生によると、

タダで何の障壁もなく、電車やバスに乗れてしまうと、ホームレスが車両に詰めかける可能性がある。

とのこと。

ホームレス

ロサンゼルスには、約6万人のホームレスがいて、その多くが路上やシェルターで密集して生活しているため、ホームレスの新型コロナウイルス感染抑止が既に大きな課題となっている。

ロサンゼルスのメトロは今年(2020年)中に計画を練り上げ、2021年の早い時期に、電車・バスの完全無料化について最終判断をする予定。