握力が寿命のバロメーターになる!?という話:ためしてガッテン【2020/09/09】

握力が寿命のバロメーターになる!?という話です。

握る力が強い弱いと、寿命とで、何の関係があるのか?

握力

握力は寿命のバロメーター

実は、握力と体の見えない部分の筋肉の関係が大きなカギを握っている。

それは、例えば、体の奥深く、

心臓を動かし続ける「心筋」や、食べものを消化するための胃や腸の筋肉、更に血管一本一本にある非常に細かな筋肉など。

こうした全身の筋肉の量と握力の強さが、深く関係していることがわかった。

筋肉は、糖や脂肪を代謝するため、多いほど生活習慣病の予防につながる。

だからこそ、握力が寿命の目安となりうる。

そのことを裏付けたのが、福岡県にある久山町での研究。

久山町では、健康診断と共に、さまざまな体力測定を行ってきた。

測定項目の中に、「握力」もあったおかげで貴重なデータがはじき出せた。

測定した数値をもとに、握力が「弱い」「ほぼ平均」「強い」の3グループに分ける。

すると、握力が弱いグループでは、さまざまな病気にかかりやすく、結果として寿命が短いことが分かった。

その数値の目安は、

65歳未満であれば、男性「39.5kg未満」女性「23.5kg未満」

65歳未満の総死亡リスク

65歳以上であれば、男性「29.5kg未満」女性「16.0kg未満」

65歳以上の総死亡リスク

この数値よりも低い握力だと、全身の筋力が低下している可能性があるので要注意。

握力は瓶のフタを開ける時ぐらいしか役に立たないと思っていたら、大間違いだった。

握力を強くする方法

では、握力を強くするためには、どうすればよいか?

握力

ある20代男性2人で実験を行った。

Aさんは握力が45.5kg、Bさんは握力が36.5kg。

ちなみに、20代前半の男性の平均は、約46kg。

握力の平均値

この2人の握力を上げるために、ある生活習慣を続けてもらう。

それは、手の力はなるべく使わず、毎日1時間以上スクワットをして下半身を鍛えまくり、3週間を過ごすというもの。

普通なら、逆に握力が下がりそうな生活だが、どうなるのか?

3週間後・・・、

Aさんの筋肉量は12.6% アップ、Bさんの筋肉量は14.7% アップした。

そして、注目の握力は、

Aさんは、45.5kg → 50.0kg

Bさんは、36.5kg → 46.5kg

と、2人とも上がった。

ほとんど手を使っていないのに、握力が上がるとは、どいうことなのか?

久山町の研究で、握力と寿命の関係を解き明かした、熊谷秋三 先生(九州大学 名誉教授)が説明していた。

筋肉の量が増える結果として、握力が高まる。

握力アップには、筋肉のたんぱく質の同化(合成)が必要。

それのもとになる物質が出ないと作れない。

それが、「IGF-1(インスリン様成長因子1)」という物質。

これは、欧米でも注目が集まっている。

あるマウスの実験では、体内の「IGF-1」を増やしたところ、運動量は変わらないのに、どんどん体が大きくなり、筋肉が50%も増えていたことが分かった。

運動によって筋肉へ負荷をかけると、その刺激は脳を経由して全身へ伝わる。

その刺激によって、主に肝臓で作られるのが「IGF-1」。

これが血液に乗って全身へ運ばれ、筋肉をどんどん作り出す働きをしてくれる。

下半身を鍛えた結果によって、「IGF-1」がたくさん作られ、上腕の細い筋肉まで強化。

だから、握力がアップした。

だからこそ、握力は全身の筋力の、そして、健康状態のバロメーターとなる。

さらに、糖尿病や心筋梗塞になりにくくする、また死亡率を抑制するというデータもある。

握力を上げるには、必ずしもキツイ運動が必要ということではなく、

例えば、「足上げ運動1日10回」などを続けるだけでも、ほとんどの人で体力や握力がアップしている。