七福神は元は6体だった!?という話:超人女子戦士 ガリベンガーV【2020/09/17】

七福神」とは、どんな神様たちなのでしょうか?

村松哲文 先生(駒沢大学 仏教学部 教授)が 話をしていました。

『七福神』ってどんな集団?

七福神

7体の神様は、「現世利益」を与えてくれる神様。

現世利益とは?
神仏から授けられる この世での幸せ

それぞれの神様で、特徴的な表現が見られる。

・恵比須(えびす)

「鯛」を持っている。漁業の神。

・大黒天(だいこくてん)

「打ち出の小槌」を持っている。五穀豊穣の神。

・毘沙門天(びしゃもんてん)

「戟(げき)」という棒、もう片方に「宝塔(ほうとう)」を持っている。戦・守護の神。

・弁財天(べんざいてん)

「琵琶」を持っている。学問・芸術の神。

・福禄寿(ふくろくじゅ)

「鶴」を伴っている。幸福の神。

・寿老人(じゅろうじん)

「鹿」を連れている。長寿の神。

・布袋(ほてい)

「袋」を持っている。財の神。

この七福神、実は日本だけでなく、世界の神様を集めて作られている。

日本の神様は「恵比須」だけ。

恵比須

「大黒天」「弁財天」「毘沙門天」と「天」の付く神様は、インドの神様。

6体の神様

「福禄寿」「寿老人」「布袋」は、中国の神様。

中でも、「福禄寿」「寿老人」は、中国古来からの宗教である「道教」の神。布袋は「仏教」の仏様。

どうやって、七福神は日本全国に広まった?

キーワードは、「七難即滅七福即生(しちなんそくめつしちふくそくしょう)」。

七福神が誕生したのは、室町時代といわれている。

当時、日本の中心地だった京都の人たちの間に、ご利益を求めようとする意識が高まっていった。

実は、七福神は、それぞれのお寺や神社でソロ活動をしていた神様。

縁起のよい神様がスカウトされて、ユニットを作り、人々が支持をして、七福神の信仰ができた。

この七福神にこだわった理由は、諸説あるが、

仁王経(にんのうきょう)という経典があり、ここに「七難即滅七福即生」という言葉が書かれている。

七難即滅七福即生

7つの大きな困難、「太陽の異変、星の異変、火災、水害、風害、干害、盗難」。

この「七難」を全て消してくれる「七難即滅」。

その代わり、7つの福を与えてくれる「七福即生」。

これが、七福神の役割。

そのため、人々に信仰されていた。

ところが、これが全国展開を起こすことになる。

それが、江戸時代。

全国展開のキッカケを作ったプロデューサーが、徳川家康。

家康の指南役だった天海僧正(てんかいそうじょう)という天台宗のお坊さんが、

「上様は七つの得をお持ちです、七福神には『七難即滅七福即生』の功徳がある」と伝えると、家康は喜んで七福神の信仰を始める。

将軍が信仰したため、諸国の大名もそれに習い、全国に展開していった。

「福禄寿」「寿老人」「布袋」に共通していることは?

先にあったように、「福禄寿」「寿老人」「布袋」は、中国の神様。

「福禄寿」「寿老人」「布袋」

それ以外にも共通点がある。それが『人神(ひとがみ)』。

人神とは、人間が生前、または死後、神として祀られる信仰で、実在の歴史上の人物。

布袋は、中国・唐時代の僧で、大きな袋を担いで放浪したという伝説がある。

福禄寿は、中国・宋時代の人物とされていて、大酒飲み。

当時の皇帝が宮中の宴会の席に呼んだ。福禄寿はいくら酒を飲んでも酔わなかった。

福禄寿が帰った後、皇帝が夜空を見ると、いつも見えていた南極星がその日に限って見えなかった。

そこで、福禄寿が南極星では?という話をしてしまったため、南極老人、南極星の化身といわれる伝説が始まった。

寿老人は、実は、この福禄寿と同一人物で、名前だけが違いペンネームだった。

福禄寿と寿老人

それが、別々で日本に伝わった際、別の存在になってしまったといわれている。

・大黒天は、インドでは『マハーカーラ』と呼ばれる神様で、ヒンドゥー教の破壊神『シヴァ』の異名。

この破壊神を仏教が取り入れて、仏教の守護神にした。

怖い顔をした破壊神がインドから中国を経由して、日本に入ってくる。

入ってきた当初は怖い顔だったが、七福神のユニットに入り、鎌倉時代を境に、笑った顔の表情に変わっている。

大黒天の表情