体操着のことをジャージというのはなぜ?という話がありました。
これについて、多摩美術大学の高橋正 先生 が説明していました。
よく、「ジャージ」と呼ばれているが、正しくは、ジャージー牛と同じ 「ジャージー」で、
ジャージー島生まれの編み物生地のこと。
国語辞典にも、「ジャージ」はなく、「ジャージー」とある。
意味は、柔らかく伸縮性のある厚手のメリヤス地の布のこと。
「メリヤス編み」を英語で「jersey stitch(ジャージーステッチ)」という。
日本語では、他に、「平編み」や「天竺編み」ともいわれる。
このジャージーステッチで作られた生地や製品のことを「ジャージー」という。セーターなども。
これは2本の編み棒で編まれているジャージーステッチ。
これは、イギリス海峡に浮かぶジャージー島が発祥といわれている。
濃く味わい深いジャージー牛乳で知られるジャージー牛の原産地。
ジャージー島では、昔、漁師が牛の毛で防寒用セーターを作っていた。
そのときの編み方がジャージーステッチだったといわれている。
その後、ヨーロッパに広まり、今では世界中で使われるようになった。
ジャージーステッチは、編み物の中でも伸縮性があり、耐久性もあるので、
トレーニングウェアもジャージーステッチで作られるようになった。
主に、アメリカでは、このトレーニングウェアが「ジャージー」と呼ばれるようになった。
これが日本にも伝わり、体操着のことを「ジャージー」と呼ぶようになり、いつしか省略されて「ジャージ」と呼ぶようになった。
一方、ジャージーに似た服で、「スウェット」や、「トレーナー」などがある。
これは、ジャージーと、どう違うのか?
スウェット(sweat)は、1920年代に、ベンジャミン・ラッセルが、フットボールをやっている息子のために作ったのが最初といわれている。
大学のフットボール選手だった息子は、ジャージーステッチの毛糸のシャツを着ていたが、汗ですりむけ着心地が悪かった。
そこで、生地の素材を毛糸からコットンに変え、表面をジャージーステッチ、肌が触れる裏面をパイル織りという織り方にした新しい生地、「スウェット生地」を作った。
こうして、汗を吸収するスウェットシャツ、ズボンが完成した。
スウェットもトレーナーも、生地だけを見れば同じもの。
トレーナーは、和製英語で、ファッションプロデユーサーの石津謙介さんが名付けた。
ボクシングファンで、汗シャツではおかしいと、スウェットの上下を着ていたボクシングのトレーナーから名付けた。