酒とたばこの税金が高い理由:池上彰のニュースそうだったのか!【2020/10/24】

2020年10月から値段が変わったものといえば、「お酒」と「たばこ」。

たばこは、1箱50円ほどの値上げとなった。

ところで、「ビール」と「たばこ」には、どれくらい税金がかかっているのか?

ビールとたばこの税金

ビールの場合は、1缶220円とした場合、消費税が20円、酒税が70円。

つまり、4割が税金。

たばこの場合は、1箱540円とした場合、消費税が49円、たばこ税が284円。

ひと箱20本中、12本ほどが税金ということになる。

なぜ、「お酒」と「たばこ」の税金は高いのか?

酒税は、室町時代に始まり、たばこ税は、明治時代に始まったといわれる。

明治時代の日本は、日清戦争(明治27年〜28年)と日露戦争(明治37年〜38年)の2度の大きな戦争を経験した。

そのため、軍事費などで、莫大なお金が必要になった政府は、お酒とたばこの税金に目をつけ、税率を上げていった。

明治32年には、酒税が国の税収の1位になったほど。

特にビールは贅沢品だったため反対も少なかった。

一方、たばこは、葉の「買い上げ」から「製造」「販売」までの全部を国が管理し【たばこ専売法(1904年〜1984年)】、ライバルがいなかったため、いくらでも税収をあげられた。

現在でも、お酒とたばこは、毎年1兆円ほどの税収があり、集めた税金で公園を造ったり、遊具を増やしたり、ゴミを処理する費用などに使われている。

しかし、たばこ税の中には、「あれ?」と疑問に思う使いみちもある。

たばこ税と ひと言で言っても、消費税以外に「3種類」ある。

国に入る「国たばこ税」。

たばこ税

それぞれの都道府県に入る「地方たばこ税」。

地方たばこ税

では、3つ目の「たばこ特別税」は何か?

実は、約30年前まであった国の事業の借金を返している。

それは、旧国鉄の借金返済。(※国有林野事業の債務返済にも使用)。

1987年、国鉄分割民営化(莫大な赤字で経営困難になり民営化)。

JRになった時、この国鉄の莫大な借金返済を引き継いだら経営が成り立たないと、赤字を切り離した。

それを、たばこ特別税で返している。

そのため、JRでたばこが吸えなくなると、「税金を払ってやっているのに、なぜたばこが吸えないんだ!」と文句を言う人もいた。

では、借金がなくなれば「たばこ特別税もなくなるのでは?」と思われそうだが、

現状は、かなり厳しく、

1988年度末で、24兆98億円あった借金は、

2018年度末で、まだ16兆円残っており、

このペースでいくと、あと40年ぐらいかかる。