1951年、アメリカに逃れたユダヤ人心理学者、ソロモン・アッシュ(1907-1996)によって、ある衝撃的な実験が行われた。
実験室に、8人の人間を集め、
2枚の図板に描かれた線の中から、同じ長さの線を選ばせる。
普通なら、ほとんどの人が「B」を選ぶだろう。
こんな当たり前の質問を12回も繰り返していく。
この実験、実はカラクリがあって、本当の被験者はたった1人。
他の7人は、サクラだった。
サクラの解答者が、わざと不正解を言うと、本当の被験者がどのように答えるか確かめようとした。
結果は、驚くべきものだった。
被験者50人のうち、一度も同調せず答えたのは、全体のわずか4分の1にすぎなかった。
つまり、残りの4分の3は、間違いに乗っかったということ。
このように同調してしまう理由は、大きく分けて2つ。
・自分が間違っていると思う(情報的影響)
・自分は間違っていないが悪目立ちしたくない(規範的影響)
国を問わず、多くの人々が本質的に持っている 「同調しようとする傾向」。
この実験には、続きがある。
まわりのサクラが全員わざと不正解を選ぶと、被験者が同調して、答えを間違える率は4割近かったが、
ここで、正解の解答をするサクラが1人でもいた場合、同調率は約5%に低下した。
例えば、「裸の王様」という童話でも、物語の最後で「王様は裸だ!」と、子どもが言った途端、大人たちが意見を変えていた、という話がある。