私たちが「メイド」という言葉を聞くと、メイド喫茶などを想像しますが、本来はだいぶ違うようです。
メイドについての詳しい話を、新井潤美 先生(東京大学 文学部 教授) が していました。
イギリスでは、メイドは、17世紀ごろから存在しているという。
全盛期は、19〜20世紀前半。
ここで、問題。
この中で、メイドは誰でしょうか?
使用人のことを「サーヴァント(Servant)」と呼ぶが、その中の1つの職業が「メイド」。
サーヴァントといってもいろんな役職がある。
写真で、前列にいた人たちが「アッパーサーヴァント(上級使用人)」といって、サーヴァントを監督する役職。
「下男」は、女性が届かないシャンデリアの掃除など、力仕事などをする。
基本的に、格好良くないとダメで、高身長の方が給料が高く、女性のメイドより給料が高い。
【3番】の「バトラー(執事)」は、「ボトル」に由来していて、お酒の管理をしたりする。
使用人の中で最上級の役職。
【1番】は、「ハウスメイド」。
【2番】は、「ハウスキーパー」で、メイドよりも偉い立場。
【5番】は、「レディースメイド」で、女主人やお嬢様の身の回りのお世話をする。宝石の管理や洋服のアドバイスなどもする。普通のメイドとは格が違う。
【6番】は、「ランドリーメイド」で、洗濯などをする。
つまり、メイドは、【1番】と【6番】となる。
18世紀から19世紀にかけて、イギリスで起こった、「産業革命」。
これが、その後メイドが増えるキッカケとなる。
産業革命で、「農村中心社会」から「都市中心社会」に変わった。
それまで、農村の中の「労働者階級」の人たちが、都市部に入っていき、読み書きが必要な事務員など、テクニックが必要な仕事に就く。
そうすると、彼らは「ミドル・クラス」に入っていく。
しかし、元々「ミドル・クラス」だった人たちからは、「ロウワー・ミドル・クラス」と区別された。
ミドルクラスのひとつの定義は、使用人を最低1人雇うこと。
1人だけ雇うとなると、賃金の安いメイドになる。
メイドの経験が全くない人でも雇われていくなど、就職先が増える。
しかし、先ほど出てきたサーヴァントがやっていた たくさんの役職を1人でこなすことになるので、かなりブラックな職場となる。
ちなみに、19世紀の使用人の基本的なルールは、以下の通り。
・別の主人のもとで働くためには、前の「推薦状」が必要になるので、基本的には、主人には逆らえないということになる。