なぜ「メリーゴーラウンド」で「馬」が回るのか?という話がありました。
これについて、遊園地の歴史などに詳しい 橋爪紳也 先生(大阪府立大学 研究推進機構特別教授)が説明していました。
日本でもなじみのあるメリーゴーラウンド。
その原型は17世紀のフランスで、ある競技の練習用に発明されたと考えられている。
その競技とは、馬の上で「やり」を持って戦う「馬上やり試合」。
これは、中世ヨーロッパで行われていた貴族たちのスポーツ。
甲冑姿で馬にまたがり、やりや剣の技術を競い合った。
「一騎打ち」や「団体」などの種目があり、現代でもお祭りとして、ヨーロッパ各地で開催されている。
その長い歴史の中で、戦い方やルールも様々な変化を遂げていった。
16〜17世紀のフランスで流行したのが、馬に乗ったまま走り抜けて、「柱につけられたリング」に「やりを引っ掛けてさらい取る」というゲーム。
メリーゴーラウンドは、リングを取る技術を高めるため、繰り返し練習できる装置として発明された。
効率的でリアルな馬上やり試合の練習をするため、木馬がつけられたと考えられている。
しかし、なぜ、スポーツの練習器具が、子どもたちの大好きな遊具に変わったのか?
やり試合の練習器具は貴族たちによって、リングを取る遊びへと発展。
(↑1789年、フランスの庭園に置かれたメリーゴーラウンド)
当時は電気がないため、中央の柱につけられた棒を押して、人力で回していた。
そして、これが地元のお祭りなどに登場すると、貴族の気分を味わえると、庶民の間で大人気になった。
(↑1874年 パリ・シャンゼリゼのメリーゴーラウンド)
やがて、電球で飾られ音楽が流れるようになり、現代のメリーゴーラウンドに近づいていく。
日本では、1918年に浅草の木馬館で、メリーゴーラウンドが初めて常設された。
更に、20世紀初頭にドイツで作られた日本最古のメリーゴーラウンドは、としまえんで多くの人々に愛された。(2020年8月31日にとしまえん閉園)
(ちなみに、メリーゴーラウンドの起源は12世紀に中東で生まれた馬上で戦うための練習器具などの説もある。)