キノコにカサがある理由:チコちゃんに叱られる!【2021/02/05】

キノコに「カサ」があるのは、なぜ?という話がありました。


これを、江口文陽 先生 (東京農業大学 地域環境科学部 教授)が説明していました。

キノコにカサがあるのは、上昇気流を生み出すということが1つ考えられる。

胞子を拡散するために、気流に乗せて遠くに飛ばす。

「胞子」とは、キノコにとって種のようなもの。

大きさは、約0.002mm〜0.02mm。

キノコは、この胞子を放出することで、増えていく。

胞子はどこから放出されるのか?

カサの裏側にヒダがあり、たくさんの胞子がついている。

キノコは胞子から発芽した菌糸が成長して増えるが、胞子を遠くに飛ばすある理由がある。

キノコは、自分の仲間を増やしたい。

環境に良い所を飛ばしたい、ということから遠くに飛ばしたい。

もし、胞子を近くにしかまけないと、豪雨や土砂崩れなどで全滅のおそれがある。

そのため、胞子を遠くに飛ばし、さまざまな場所に生えることで、全滅のリスクを回避している。

しかし、遠くに飛ばしたいなら上から放出した方がよさそうですが、なぜ下からなのか?

その理由は、胞子がどのように飛んでいるかを見れば分かる。

キノコの下で煙のようにゆらゆらと揺れている「胞子」。

カサを離れた胞子は、下に落ちていかず空気中を漂っている。

舞い上がっているように見える。

胞子はカサから下に向かって放出されたのち、上に舞い上がることで風に乗って遠く広く飛んでいくことができる。

その理由は、飛行機の翼を使った実験を見れば分かる。

翼の断面に空気の流れが分かるように風を当ててみると、

翼の上を通過する気流は山なりになっているのに対し、翼の下を通過する気流は、ほぼ真っ直ぐに流れている。

この時、翼の上部に出来る青いエリアに、気圧の低い部分が生まれる。

気圧の高い所から低い所へ働く力、これが「揚力」。

この揚力によって、飛行機の翼は上に上がり飛ぶことができる。

そして、空気は、気圧が高い所から低い所に流れる、端の方では下から上へと気流が生まれる。

キノコのカサも、この仕組みと同じ。

キノコも同じように、風が当たった時、カサの下と上では気圧に差が生じ、それによって生まれた気流に乗って、胞子は舞い上がり、風に乗って遠くに飛んでいく。

キノコの胞子が舞い上がる理由は、地熱や地面の水分の蒸発によって生まれる上向きの空気の流れも関係するが、キノコのカサの形が上昇気流を生み出すひとつの要因と考えられる。

更に、胞子がカサの下にあるメリットがもうひとつある。

雨から胞子を守る、そして、濡らさない。

胞子を濡らさないで遠くに飛ばす、胞子の軽さを維持するために、カサで守っているということになる。