近年、老人ホームでの大きな問題となっているのが、認知症の方による無断外出。
職員の目が届かないところで、施設外へ出てしまい、事故に遭ったり、最悪の場合、死亡事故につながるケースも増えている。
そこで、あるアイデアが生まれた。
ドイツのこちらの老人ホーム。
ここには、出入口を出てすぐの場所に「バス停」があった。
実はこれ、「架空のバス停」。
なぜ、偽物のバス停が設置されているのか?
認知症の方による無断外出の理由は、「家に帰ろう」「買い物に行こう」など、明確な目的を持った方が多い。
しかし、最初は目的を持っていても徐々に忘れてしまい、街中で迷子になってしまうのが認知症の怖いところ。
そこで、今回のように、老人ホームの前に、架空のバス停を置くと、外に出た認知症の方はバスを待つようになる。
当然、そのバス亭は偽物なので、バスは来ない。
その間に、職員が見つけることができるという優しいアイデア。
この偽のバス停の効果は絶大で、無断外出による事故が激減。
今では、世界中の多くの老人ホームで、偽のバス停が安全を見守っている。
ちなみにこのアイデアは、高齢者の方が外に出たいという目的を「出ないでください」と言うと本人にとってはストレスになり、拒否された、拒絶されたことになるが、自分が目的を忘れるまでバス停で待ち続けることで、お互い不満もなく解消できるというところが実にすぐれている。