缶詰になる果物とならない果物があるのはなぜ?という話がありました。
これについて、日本缶詰びん詰レトルト食品協会で缶詰について研究をされている、川崎幸正 さんが説明していました。
そもそも缶詰とは、いろいろな規約や法律で決められている。
缶詰とは・・・
食品を缶に詰めて密封したのち、加熱によって食品の腐敗の元となる微生物を加熱殺菌し、常温下での長期保存性を与えた食品。
この中の「微生物を加熱殺菌し」という工程が缶詰になるかどうかのポイント。
みかんの缶詰を作る工程を見てみると、
「缶に詰める」→「シロップを入れる」→「真空にして密封」
そして、缶の大きさにもよるが、85℃のお湯に15分つける。
これが微生物を殺菌する工程。
こうすることで、保存料なしで、3年の長期保存ができるようになる。
これが缶詰が長持ちすることの理由。
では、なぜ、缶詰になる果物とならない果物があるのか?
そこには、「ボツリヌス菌」という菌が関係している。
ボツリヌス菌とは・・・
吐き気やめまいなどを起こす食中毒の原因となる菌
このボツリヌス菌のやっかいなところは、酸素の少ない状況を好んで発育すること。
缶詰は真空にするので、酸素が少ない状況になる、つまりボツリヌス菌にとって発育しやすい環境といえる。
このボツリヌス菌を死滅させるには、基本的には、120℃で4分間以上加熱しなければならない。
しかし、先ほどの みかんは85℃に15分、お湯につけての殺菌でしたが・・・?
そこで、関係してくるのが「pH(ピーエイチ かつてのペーハー)」。
pHとは・・・
その物質が酸性かアルカリ性かを表した数値。
pH7を中性とし、7より小さければ「酸性」、7より大きければ「アルカリ性」となる。
このボツリヌス菌は、そもそもpH4.6以下では発育できない。
そのため、缶詰になる果物は、pHが低い、つまり、酸性の強い果物が多い。
確かに、pHが4.6を超えるスイカ、メロン、柿などは、缶詰ではあまり見ません。
これらの果物を加熱処理で殺菌しようとすると、120℃で4分間相当の加熱殺菌が必要になる。
しかし、それほどの熱を加えると、元の果物と香りや味が変わってしまう。
例えば、バナナはピンク色で軟らかくなり、水を含んだ薄い味になる。
スイカは、オレンジ色で青臭くなり、どちらも美味しくなくなる。
ちなみに・・・
pHが4.6を超える果物でも、中には、酸を加えて、pHそのものを低く調整することで、低音殺菌している缶詰もある。