野球の「ストライク」って何?:チコちゃんに叱られる!【2021/03/26】

野球の「ストライク」って何?という話がありました。

これについて、鈴村裕輔 先生(名城大学 外国語学部 准教授)が説明していました。

そもそも、「ストライク」は、「打つ」という意味。

野球の審判が言う「ストライク」は、「打て!」という意味。

現在の野球のルールの基礎は、1845年にアメリカで誕生。

この時のルールでは、ピッチャーはソフトボールのように下手投げ。

しかも、バッターがリクエストしたコースに、打ちやすい球を投げてくれるため、打つのが当たり前のスポーツだった。

そのため、打たずに見送った球について、現在のように審判が「ストライク」や「ボール」といった判定をする必要がなかった。

そのため、審判はキャッチャーの後ろではなく、少し離れた所に立っていることが多かった。

野球の人気が広まって、野球チームが増えてくると、選手の意識が変わってくる。

その結果、審判は「ストライク(打て)」と叫ばざるをえない状況になった。

1845年〜1856年当時のルールでは、21点先取した方が勝ちだったため、得点が入らないとなかなか試合は終わらなかった。

そのため、スムーズに試合を進めることも、審判の大事な役割。

ところが、ある日、どうしてもヒットを打ちたいと思った最初の男が現れた。

この頃のルールでは、空振りを3回するとアウトになったが、「いい球」をいくら見送ってもアウトにはならなかった。

そのため、どうしてもヒットを打ちたかったその男は、ピンポイントで得意な球が来るまで見送り続けた。

いつまでも打たない打者に「いい球だから打て!」と言った審判の不満の声がキッカケで「ストライク(打て)」が誕生。

1858年から、いい球を打たない打者に対して、「グッドボール ストライク(いい球だ 打て)」と忠告することがルールとして決められた。

それから、少し時が過ぎ、「ボール」誕生の瞬間が訪れる。

ある日、どうしても勝つために打たせたくないと思った最初のピッチャーがいた。

そのピッチャーは、バッターのリクエストを無視した打ちにくい球ばかりを投げ続けた。

そんな中、1863年から、打者が打ちにくい球に対して「アンフェアボール(ズルい球)」と忠告するようになり、略されて「ボール」になった。

こうして、「ストライク」「ボール」を繰り返し、日没までに決着のつかない試合が増えていった。

そんな泥試合にならないよう、後に、「アンフェアボールを9球投げたら出塁できる」というルールが生まれた。これが後に現在のフォアボール(4球のボール)となる。

また、3球いい球を見送ったり、空振りしたりするとアウトになる「三振」というルールが生まれた。

こうして、野球は、打つのが当たり前のスポーツから、投手と打者の駆け引きを楽しむスポーツへと変わっていった。

そして、アンフェアボールが生まれた後に、下投げから上投げになったりと進化した。

ちなみに、「アウト」は、もともと「ストライク」や「ボール」よりも先にあったルールで、

審判が選手に、「これ以上はプレーできないのでフィールドから出ていきなさい」という意味で「アウト」と言うようになった。