空には目印がないのに飛行機が迷わないのはなぜ?という話:チコちゃんに叱られる!【2021/04/02】

空には目印がないのに飛行機が迷わないのはなぜ?という話がありました。

これについて、パイロット歴30年の木賀孝彦さんが説明していました。

空には、地上のように道路や標識、目に見える看板のようなものはない。

それでも迷わずに目的地まで飛行できるのは、「ウェイポイント」のおかげ。

ウェイポイント」とは何か?

飛行機が飛び立つ空港から目的地の空港までの進路上にある目印のこと。

それぞのウェイポイントは、「経度・緯度」で表される。

このウェイポイントから次のウェイポイントをたどることで、飛行機は確実に目的地へたどり着くことができる。

しかし、あくまでこれは人が作った地図上の話。

実際の空に、ウェイポイントという目印は浮かんでいない。

では、どうやって正確に、ウェイポイントを通過するのか?

こちらは、航空機の操縦席を再現した訓練施設、通称「シミュレーター」。

飛行機には、高度なナビゲーションシステムが搭載されていて、ルートが 一目瞭然になっている。

ナビゲーション画面に「自分が乗っている飛行機」、「ウェイポイント」、「そこへ向かうルート」が表示されている。

パイロットは、これを頼りに操縦している。

空に目印がなくても、ナビゲーション画面を頼りに目的地へ飛ぶことができる。

高度なコンピューターシステムに助けられている部分は多いが、

刻一刻と天気の状況が変わる空を、安全かつ正確に飛行するには、ウェイポイントが大切。

例えば、次のウェイポイントへのルート上に雲が発生し、予定通りの飛行ができない場合、まずパイロットは、空の交通整理をする管制官に、進路の変更を提案する。

管制官の承諾を得たら、パイロットはルートを変更。

すると、画面にはもともとのルートに加え、変更したルートが点線で表示される。更に元のルート上にある次のウェイポイントを表示することができるため、雲を避けて通過した後、元のルート上にあるウェイポイントを目指せば、簡単に元に戻ることができる。

こうした緊急時に、パイロットと管制官のやり取りが、どこどこの方向に何キロ進んで・・・なんて言っていたら、聞き間違えてしまう可能性もある。

しかし、あらかじめ決められた「ウェイポイント」をお互いが知っていれば、ウェイポイントの名前を言うだけで、スムーズな進路変更が可能になる。

実際には、どのようなやり取りが行われるのか?

パイロット「Fukuoka control japan air 81・・・
clear of weather request direct POTET(ポテト)
(悪天候を回避したので、「ポテト」に向かいます)

パイロット「Fukuoka control japan air 81・・・
now over ONIKU(オニク) flight lebel 400」
(ただいま通過しました、飛行高度400フィートで)

パイロット「Shanghai control japan air 81・・・
now over LAMEN(ラーメン) flight lebel 400」
(ただいま通過しました、飛行高度400フィートで)

これはふざけているのではく、この「ポテト」「オニク」「ラーメン」の3つは、九州北部から中国・上海を結ぶルート上にある正式なウェイポイントの名前。

管制官とパイロットが音声通話する際、国籍に関係なく「聞き取りやすい」「発音がしやすい」「間違えにくい(他のウェイポイントと)」などが重視され、5文字のアルファベットで国土交通省航空局が決めている。

変わった名前は他にもある。

KONBU(昆布)ー 北海道 利尻島付近
MIKAN(ミカン)ー 和歌山

地域の特産品もある。

KILLY(きり)、TAMPO(たんぽ)ー 秋田
HONMA (ホンマ)、KAINA(カイナ)ー 大阪

複数合わせてひとつの言葉もある。

YOSAN (大泉洋)ー 北海道 上空
GIBAR(柳葉敏郎)ー 秋田 上空
RINAH(生駒里奈)ー 秋田 上空

BERTH(バース)、KAKEF(カケフ)、OKADA(オカダ)ー 兵庫県淡路島付近

有名人にちなんだウェイポイントもある。