「午前中」と言うのに「午後中」と言わないのはなぜ?という話がありました。
これについて、日本語学を研究する木村一 先生(東洋大学 文学部 教授)が説明していました。
「午前中」と言うのに「午後中」と言わないのは、午後の終わりというのは、人それぞれだから。
「(なになに)〜中」というのは、「終わり」の方に意識が向けられることが多くある。
基本的には、終わりがハッキリしているものに、使われる言葉。
「午前」と「午後」の終わりについて、どのように書いてあるか辞書を引いてみると、
「午前」は、始まりに違いがあるものの、終わりは「正午」とハッキリしている。
一方、「午後」は、始まりはハッキリしているが、終わりがハッキリ決まっていない。
例えば、「午前中に荷物が届きます」と言われた時、昼の12時までには来ると考える。
では、「午後中に荷物が届きます」と言われたら、日が暮れるまで?夜?と、終わりがハッキリしない。
そのため、「〜中」が使いにくい。
他にも、時間を表す言葉では、「今日(0時〜24時)」は、終わりがハッキリしているので、「今日中」と言える。
ちなみに、時間軸ではなく、動作的な意味合いでも、終わりがあいまいなものなどには、「中」がつかない。