山芋を食べると口のあたりがかゆくなるのはなぜ?という話がありました。
これについて、長芋や自然薯などを研究し、山芋類を愛してやまない 川崎通夫 先生(摂南大学 農学部 教授)が説明していました。
なぜ、山芋を食べると口の周りがかゆくなるかというと、無数の小さな針が刺さっているから。
山芋を顕微鏡で見てみると・・・、
確かに先のとがった針状で束になっているものがある。
これは、シュウ酸カルシウムの針状結晶。
長いもので、0.2mmぐらいになるものもある。
この針の束が山芋の中に無数にあるという。
太さは、1mmの1000分の1以下と、とても小さいため、
すりおろしても、針の束やとがった先端も壊れず、
じゅるじゅると大量の針を 一緒に食べていることになる。
そして、この山芋が口のあたりにつくと、針状の結晶が皮膚に刺さるので、痛がゆくなると考えられている。
この針状の結晶は、特に山芋の皮の部分に多くあるので、触っただけでかゆくなる。
しかし、なぜ、山芋には針があるのか?
昆虫などに食べられないように、針状結晶があると考えられる。
実際に、シュウ酸カルシウムを含んだ部分と、含まない部分がある葉っぱを虫に与えると、
含まない部分しか食べなかったという観察結果が報告されている。
山芋は自ら針を持つことで、虫に食べられるのを防ぎ、生存競争で生き残ったと考えられる。
ちなみに、このシュウ酸カルシウムは、パイナップルやキウイにも含まれていて、
食べる時に、チクチクする感覚があるのは、そのため。
では、かゆくならない食べ方は?
シュウ酸カルシウムの結晶は、芋の皮付近に多いため、
皮を4〜5mm程度、厚めにむくと、針状の結晶を多く取り除ける。
(補足:山芋にはアセチルコリンが入っているため、アレルギーのような症状を起こし、かゆくなることもある。)