「いらっしゃいませ」と言うようになったのはなぜ?:チコちゃんに叱られる!【2022/03/18】

「いらっしゃいませ」と言うようになったのはなぜ?という話がありました。

これについて、齋藤孝 先生(明治大学 文学部 教授)が説明していました。

そもそも、「いらっしゃいませ」が使われるようになったのは、江戸時代中期から後期。

それまでは、「おいでなさいまし」という言葉で客を迎えていた。

「いらっしゃいませ」は、「来る」の尊敬語「いらっしゃる」と、言葉を丁寧にする「ます」の命令形「ませ」がくっついてできた、「いらっしゃりませ」が原型で、「こっちへおいでなさいませ」という意味。

つまり、今はお店の中で、「いらっしゃいませ」が使われているが、もともとは、「いらっしゃりませ」と、外にいる客を呼び込むために、使われていた言葉。

そして、この「いらっしゃりませ」の「り」が言いにくかったため、「いらっしゃいませに」変わった。

では、なぜ、客引きの時に、「いらっしゃいませ」という言葉が、使われるようになったのか?

それには、徳川家康が、「東海道五十三次」を整備したことが大きく関係している。

日本橋から京都を結ぶ全長約492kmの東海道。

徳川家康は、この東海道全域を整備し、朝廷への荷物を早く届くようにした。

この家康が整備した東海道は、お伊勢参りなどで、多くの一般の人々も利用していた。

東海道にあった宿の数は、約3000軒。

中でも、今の愛知県名古屋市熱田区にあった宮宿は、特に宿が多くなり、その数は248軒と、東海道最大になった。

そのため、どの宿に入ろうか迷っている客をつかまえる客引き合戦が行われた。

江戸時代の浮世絵師 歌川広重の作品「旅人留女」にも、東海道の宿に泊まろうとする客の取り合いが描かれている。

もともと、客を呼び込むために使っていた「おいでなさいまし」は、丁寧だが活気が感じられない。

一方、「いらっしゃいませ」は、威勢のいい活気のあるお店だと感じられる。

つまり、「いらっしゃいませ」は、どの店に入るか迷っている客に活気のある店とアピールするために使われた始めた。

これが全国に広まっていった。

そして、時代とともに強引な客引きが少なくなり、店内で言う現在のスタイルに変わった。

しかし、もう店へ入った状態で「いらっしゃいませ」と言っても意味がないのでは?

実は、お店に入ってきた人に向けた「いらっしゃいませ」には、重要な意味がある。

・気付いてますよ!のサイン。無視されてると感じる人もいるので。
・いつでもサポートする準備はできています!という気持ちを込めて。

つまり、お客さんが買い物をしやすくするため。