なぜカレンダーには「大安」や「仏滅」と書いてあるのか?という話がありました。
これについて、下村育世 先生(一橋大学 大学院社会学研究科 特任講師)が説明していました。
カレンダーの「大安」「仏滅」とは、日の吉凶を占う「六曜(りくよう)」。
14世紀ごろ中国から伝来し、日本で独自の解釈が加えられた、1日の中で「どの時間帯が吉か凶か」を占うというもの。
「先勝」「友引」「先負」「仏滅」「大安」「赤口」の6つから成る。
「先勝」午前:吉、午後:凶
「友引」昼のみ:凶 (午前11時から午後1時)
「先負」午前:凶、午後:吉
「仏滅」1日中:凶
「大安」1日中:吉
「赤口」昼のみ:吉 (午前11時から午後1時)
江戸時代の六曜は、マイナーな占い。
こちらは、1864年のカレンダー。
占いの所を見ると、3種類、5つの占いが載っている。
占いの内容は細かく、人々は行動や生活の中で、カレンダーに書き込まれた占いを頼った。
例えば、具合が悪くても、その日が医者にかかるのは「凶」とあれば、わざわざ日にちをずらすなど、カレンダーの占いに従って、その日やるべきこと、避けるべきことを決めるのが、当たり前だった。
しかし、ここには六曜が載っていない。
当時、六曜はシンプルなため好まれていなかった。
複雑な占いの方が神秘的に感じられていたのかもしれない。
あと、六曜は占いとしては新しくて好まれなかったというのもある。
では、マイナーだった六曜がなぜカレンダーに載るようになったのか?
それは、明治に入ってからの「暦の改定」がキッカケだった。
文明開化に沸いた明治の日本。
それまで使っていた旧暦の太陰暦から、西洋に倣った太陽暦の改暦が起こる。
この時、政府は、「科学的根拠のない吉凶占いは廃止する」とし、カレンダーへの占いの掲載を一切禁止にした。
実際のカレンダーを見てみると、月日に当てた記号のようなものがあるだけで、占いは書かれていない。
しかし、カレンダーの占いに慣れていた人々は満足できなかった。
そこで、占いが載った「ヤミカレンダー」が作られた。
「ヤミカレンダー」とは、業者が政府の許可を得ず、違法に発行していたカレンダー。
占いがある方が人気があったため、取り締まりの目を盗んで、いろいろな占いを載せる中で、
それまでマイナーだった六曜も載るようになった。
政府による占いの規制は、明治6年から終戦まで続き、戦後になってようやくカレンダーの発行が自由化された。
しかし、生活が近代化する中で、人々は江戸時代ほど占いに頼って行動を決めることはなくなり、それまでの複雑な占いではなく、シンプルな六曜が残ったと考えられている。
六曜はあくまで科学的根拠はないが、専門的な知識を必要とせず、6つと数が少なく、字を見ただけで意味が分かりやすいシンプルさも受けた理由なのかもしれない。
六曜の字面を改めて見ると、
「先勝」「先負」「仏滅」「大安」は吉凶の時間帯がイメージしやすく、
「友引」で葬式はダメなのはわかるが、
「赤口」とは 一体何なのか?
赤口は、赤舌神(しゃくぜつじん)という神の名前に由来し、
・6日に1度、赤舌神に、鬼が門番としてつく日
・ふだん暴れ回っている鬼がおとなしい昼の2時間が吉
・仏滅より「凶」ととられることもある
・火の元、刃物(料理、散髪)は避けるべし
などといわれている。
(※六曜の発祥や意味については諸説ある。)