カラスの漢字でトリより線が一本少ないのはなぜ?:チコちゃんに叱られる!【2022/07/29】

カラスの漢字で、トリより線が一本すくないのはなぜ?という話がありました。


これについて、日本漢字学会会長を務める 阿辻哲次 先生(京都大学 名誉教授)が説明していました。

私たちが当たり前のように目にしている漢字は、約3300年以上前に中国で生まれたといわれている。

古代中国では、王様が神様と交信するために、亀の甲羅や動物の骨に文字を刻んでいた。

この時に使われていた「甲骨文字」と呼ばれる文字が、現存する最古の漢字といわれている。

漢字は、はじめ、神様と交信できる権力者だけが使っていた。

しかし、そこから数千年、文明が発達するにしたがい、いろいろな人が漢字を扱うようになったため、

どこでも誰もが、同じものが書けるよう形が整えられていった。

例えば、こちらは、甲骨文字での「鳥(とり)」という漢字。

鳥の形を絵で描いたような文字だった。

そして、この「鳥」の漢字が、時代の流れとともに、私たちがよく知る漢字になる。


比較してみると、「くちばし」「翼」「足」をそれぞれ表していることが分かる。

カラスの漢字を比べてみると、「目」の部分を表す「横線」がない。

つまり、「烏(カラス)」は、「目がない鳥」を意味している。

カラスは全身が真っ黒なため、黒い目が顔に溶け込んで、目がどこにあるか分からない。

古代の中国でも「目のない鳥」というカラスの特徴を表すため「鳥(トリ)」という漢字から、目を意味する横線を取り除いた、この「烏(カラス)」という漢字が生まれた。

実際に、18世紀に書かれた漢字の成り立ちを表す文献にも、

と書かれている。